67歳オバ記者が提案する「たった540円」で1日満喫するバス旅 「ライトアップされた東京タワー」も楽しみながら
ライター歴45年を迎えたオバ記者こと野原広子(67歳)。気持ちがモヤモヤするときは、とにかく「旅の計画を立てる」こと。でも、足代がかかる…そんなときはたった540円で1日満喫する方法があるという。オバ記者が綴る。 【写真】1時間半のバス旅でたどりついた終点にあったのは…
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スマホに入っていた8年前の写真に「生きてた家族の姿」
えええ~っ、もう師走? 今年もあと1か月切った? いつのまに!? 聞いてないよ。この前まで暑かったじゃん! と、カレンダーを睨みながら心の中でジタバタが止まらない。 年をとると1年があっという間、3年前はついこの間って、これまで何回聞いたかわからないし、10年前からその実感はあるにはあったのよ。だけど私はこの10年が濃すぎた。弟、父、母と家族3人の介護やら葬式やら法事やらで後ろを振り返る気にもならなかったのよ。それがひと段落したんだね。朝晩、介護した母親や酒飲みの弟や、義理の仲だった父親まで顔が出たり声がよみがえったりして、ああ、やかましいっ! 思えば先日はスマホの機種変更の手続きをしている最中に、8年前のカレンダーを開いたのがマズかったんだね。その時はまだ私の家族はみんな生きてたの。それが今は誰もいない。あああ、もう、たまらんです。 で、こんな時に私はスマホを開く。iPadも開く。iPadで単純なゲームをしながらスマホで音楽を聴いたり、若い論客の小理屈を聞いたりすること2時間、3時間。それでもダメなときは地図を引っ張り出して旅の計画を立てる。これは鉄板だね。身体中の細胞がとくとくとうごめきだして、早い話、気が確かになるのよ。 ところがこれにも副作用があるんだわ。旅は必ず足代がかかるでしょ。その算段をしようとするとムリムリムリ。再び頭から布団をかぶることになって、はい、振り出しにもどる(笑)。
お財布にとってもやさしいとっておきの旅
でもたったひとつ。お財布にとってもやさしいとっておきの旅があるんだわ。足代は500円玉ひとつ。東急バスには1日券があるのよ。手続きはバスに乗る時にスマホを出して運転手さんに「1日券で」と言うだけ。あとは何回乗っても540円ってすごくない? 1回券は230円だから3回でおつりがくるの。 で、今回は午後から秋葉原からお茶の水へ向かい、大きなバスターミナルがある東京駅丸の内北口行きに乗り換えて、いい塩梅に停車中の等々力行きに飛び乗った。前から片道1時間半のこの路線は目をつけていたんだよね。それを今日こそ決行しようというわけよ。 ラッキー! 運転席の左、最前列が空いている! バスは帝国ホテル前を通って経産省前を通過して、白金、目黒駅を過ぎたあたりからビルの背が低くなって、郊外感が濃くなってくるんだわ。それに最前列だと見知らぬ地名が次々に電光掲示板に出てくるから終点の等々力操車所まで飽きることがない。で、終点のバスの操車所に着くとこれはどこもそうだけど、ただの倉庫だから殺風景極まりないんだよね。