【ヤクルト】ドラ4鈴木叶が1軍デビュー戦でプロ初安打&初打点「食らいついて強い気持ちで」
<日本生命セ・パ交流戦:ソフトバンク-ヤクルト>◇12日◇みずほペイペイドーム 名刺代わりの一打にやっと笑みがこぼれた。ヤクルトのドラフト4位ルーキー、鈴木叶(きょう、18)が、1軍デビュー戦でプロ初安打&初打点を挙げた。1-1と同点に追いついた4回2死満塁の第2打席。ソフトバンク先発の大津に3球連続ファウルで粘ると、5球目のスライダーをしぶとく左前へ運んだ。打球は左翼・近藤のグラブからこぼれて、勝ち越しの2点適時打となり「なんとか食らいついて強い気持ちで打ちました」と喜んだ。 正捕手の中村が上半身のコンディション不良で出場選手登録を外れ、前日11日に1軍昇格。「もし出る機会があったら全力でプレーしたい」と意気込んだ翌日にチャンスが巡ってきた。球団で高卒新人捕手の先発出場は前身の国鉄時代の阿井利治以来70年ぶり2人目の快挙。それにも動じず、バッテリーを組んだ先発山野とソフトバンク打線に立ち向かった。3回に1点を先制されたが、直後に自らのバットで逆転につなげて一塁上で大きく右手を突き上げた。 常葉大菊川高時代には高校日本代表候補でもあったが、3年時に左親指のケガもあってドラフト上位指名を逃した。それでも1月の新人合同自主トレでは背筋力、50メートル走、インタバール走などでも上位を独占し、フルー打撃で推定150メートル弾をぶっ放し、首脳陣を驚愕(きょうがく)させた逸材だ。「走攻守できるキャッチャーを目指す」と豪語する18歳。鮮烈な1軍デビューを飾り、名前にもある1つの夢を「叶」えた。今後どんな活躍を見せるかと期待が大きく膨らむ。【平山連】 ◆鈴木叶(すずき・きょう)2006年(平18)3月21日、静岡県掛川市生まれ。西山口野球少年団で野球を始め、掛川東中では浜松南リトルシニアに所属。常葉大菊川で2年から正捕手を務め、3年春センバツ出場。23年ドラフト4位でヤクルト入団。今季のファームでは3月16日開幕戦でデビューし、いきなりサヨナラ安打。今季推定年俸550万円。181センチ、81キロ。右投げ右打ち。 ▼初出場の高卒ルーキー鈴木が4回に決勝点となる適時打。2リーグ制後、高卒新人が初出場で勝利打点(V打)は、17年10月3日中日戦の細川(DeNA)に次ぎ2人目。細川は初打席が3ランでこれが決勝点だった。なお、高卒に限らずヤクルトの新人が初出場でV打は、95年6月21日広島戦の稲葉以来29年ぶり。 ▼鈴木は18歳2カ月。18歳でV打を記録したのは22年8月19日楽天戦の松川(ロッテ=18歳9カ月)以来で、ヤクルトでは06年10月10日広島戦の川端(18歳11カ月)以来。他には51年9月22日名古屋戦で投手の金田が18歳1カ月でマークしており、鈴木は金田に次ぐ球団2位の年少記録。 ▼鈴木は捕手で先発。高卒新人のスタメンマスクは22年に70試合起用の松川以来だが、球団では54年阿井以来70年ぶり2人目。阿井は10月14日阪神戦を始め、7試合に捕手で先発した。