【番記者の視点】東京V「反省の前半」「手応えの後半」…京都と2―2引き分け
◆明治安田J1リーグ▽第5節 東京V2―2京都(29日・味スタ) 【東京V担当・後藤亮太】東京VがU―23日本代表FW染野唯月の今季初ゴールを含む後半の2得点で京都と2―2で引き分けた。 スコアが示したように、前後半で全く違う内容と結果だった。試合後に城福浩監督が「真摯(しんし)に反省しなければいけない」と振り返った前半は「0―2」で、シュート本数も東京Vの1本に対して、京都は8本。相手の強度の高いプレーの連続に押し込まれ、ボールロストする場面や、走力の面で相手に圧倒される場面が散見した。 また0―0の前半22分には京都の豊川に豪快なミドルシュートを決められたが、この場面では相手への寄せが甘くなり、フリーでシュートを打たれていた。指揮官は「自分たちがアグレッシブにサッカーをやってやられたのであれば受け入れますし、ゴール前で自分たちの人数が足りないのであれば、それを受け入れますが、ボールにいかないでやられるということだけは受け入れられない。ああいう失点は見たくないです」と厳しく指摘。昨年はJ2最少失点を記録したが、今季は5戦で無失点試合はなし。相手のレベルが上がった中で、もう一度詰めていかないといけない部分だろう。 ただ、京都はハイプレスで試合開始から戦っていた反動もあり、体力の落ちた後半は予想通り、東京Vが主導権を握る展開となった。後半開始とともにMF斎藤を右サイドハーフ、MF稲見をボランチで起用し、MF見木をボランチから、FW染野に近い場所に配置。MF森田らも含めて、各選手は配置にとらわれることなくスペースに顔を出してボールを引き出すことで、パスをつないでリズムを作り、主導権を握った。 0―2の後半33分に途中出場の山見がPKを獲得した場面もDFラインでのFKから14本のパスを左右につないで揺さぶりをかけ、最後は左サイドの山見のドリブル突破から生まれたもの。これをFW染野が決めて1点差に迫ると、その後もロングボールだけに頼ることなくパスをつなぎながら好機を探り、土壇場で染野のこの日2点目で同点に追いつく執念を見せた。 後半のスコアは「2―0」で、シュート本数は東京Vの7本に対して京都は2本。「リスクを全員が覚悟しながらボールを回すというのが我々の攻撃バージョン」で圧倒し、指揮官も「前半のよくない45分をよく盛り返したと思う」と評価。第4節の新潟戦(2△2)と同様試合終了間際で手にした勝ち点1は貴重だ。 その上で、悲願のJ1復帰後初勝利に向けて、城福監督はこう強調した。 「キックオフのときから、本当にインテンシティーが高い中で、ルーズボールを含めて対等に戦いながらやれてこそ、ああいう後半が迎えられる。後半を0―0で迎えられればもっと良かったと思いますが、我々としたら前半を耐えるメンバーと、後半のゲームチェンジャーという意味では、今別の人間になっていますけど、基本的には先発のメンバーが両方を何とか両立させながら、バトンをつないでいく後半になれるように、両立を目指しています。まだまだ伸びる余地はある」 課題を克服しながら、より自信を深めていく。その繰り返しが、東京Vの成長曲線の角度を上げていく。
報知新聞社