「SHOGUN」エミー賞受賞を喜ぶ人と抵抗ある人 日本人がアメリカで最多受賞した本当の理由
Netflix、Amazon プライム・ビデオ、Huluなど、気づけば世の中にあふれているネット動画配信サービス。時流に乗って利用してみたいけれど、「何を見たらいいかわからない」「配信のオリジナル番組は本当に面白いの?」という読者も多いのではないでしょうか。本記事ではそんな迷える読者のために、テレビ業界に詳しい長谷川朋子氏が「今見るべきネット動画」とその魅力を解説します。 【写真】ヒロインの「鞠子」を演じたアンナ・サワイが「エミー賞」でアジア人女性初の主演女優賞を受賞した ■配信直後は話題性足りず 真田広之主演ドラマ「SHOGUN将軍」のアメリカでの偉業が日本でも大きく報じられています。アメリカのテレビ界最高峰の賞と言われる「エミー賞」主要部門が発表された9月15日夜(日本時間16日)以降は各メディアが取り上げているところ。
史上最多の18の賞を獲得し、作品賞のみならず真田が主演男優賞、ヒロインを演じたアンナ・サワイがアジア人女性初の主演女優賞まで獲得したインパクトは大きいものです。お祝いムードに包まれていますが、一部のSNS上ではポリコレに関する議論にも発展しています。いずれにしろ一過性の話題で終わらない節目を作る作品となりそうです。 作品が全世界配信された当時は、今のような盛り上がりは正直なところ想像できませんでした。日本ではDisney+の「スター」作品として今年の2月27日から配信が開始され、1話ずつ更新された間も(初回は2話)、最も盛り上がりそうな最終話の10話目を迎えたときでさえも、日本では大きな話題になったとは決して言えなかったからです。
真田が徳川家康をモデルにした「虎永」を主演し、細川ガラシャがモデルの「鞠子」はサワイが演じ、ほか石田三成がモデル役の平岳大や、家臣役で浅野忠信が登場するなど、興味を引く要素は十分に揃っています(参考記事:ディズニー本気の「SHOGUN 将軍」意外な見どころ)。ですが、戦国時代の物語そのものは日本人にとって新鮮味を感じにくいものです。同じ原作で作られた1980年代版のリバイバルの効果もそれほど影響していませんでした。