アギーレJに見えた進歩
後半開始直後のバー直撃弾だけでなく、本田は前半17分と後半20分には右のポストにシュートを直撃させている。本人も責任を感じていたのだろう。試合後にはこう語っている。 「ああいうところで決めないと、大事な試合で勝てない。非常に悔しいですね」 イラク戦の2日前には、アギーレ監督のリーガ・エスパニョーラ時代の八百長疑惑に関する告発状が、スペイン・バレンシアの裁判所に受理された。騒動が再びクローズアップされてきた中で、しっかりと勝ち点3を獲得した意義は大きいと水沼氏は言う。 「選手たちもあれこれと言われ続けるのは嫌だと思うし、ピッチ外の雑音を消すには勝つしかない。ただ、勝つには勝ったが、90分間を通してワクワクさせられたかと言えば決してそうではない。後半途中までの押し込まれた時間帯にしてもポジションへの戻りがやや遅かったし、攻守の切り替えのスピードももっと上げられる。最終的に目指している場所がどこなのか、ということを考えれば、イラク戦をアギーレジャパン発足以降のベストゲームとするわけにはいかない。ボールをキープし続け、何も起こらないまま試合終了の笛を聞いて、初めて試合をコントロールできたと言える。そのレベルに達するためには、まだまだ細かい修正点が多い」 収穫はパレスチナ代表に続く無失点での連勝で勝ち点を6に伸ばし、20日のヨルダン代表戦で引き分けてもグループDの1位で決勝トーナメントに進出できる権利を手にしたこと。1位ならばグループCの2位と対戦する準々決勝までの日程が一日多く空く。進化の跡を少しずつ刻みながら、アギーレジャパンは17日に第3戦が行われるメルボルンに入る。 (文責・藤江直人/スポーツライター)