26歳でがんになって感じた「人間関係の難しさ」。友人たちの反応を見て気づいたこと
がんになった自分が「役に立ちたい」と始めた情報発信
莉子さんが罹患した「悪性ラブドイド腫瘍」は、乳児に多い希少がんの一種です。小児がんに分類されますが、成人が罹患するのは日本で年間3、4例といわれるほど非常に珍しいケース。治療法やその間の生活、予後など知りたい情報があまり見つからなかった経験から、莉子さんは治療中の生活をブログやSNSでの発信を始めました。 「情報交換をしたり、自分の経験がほかの悪性ラブドイド腫瘍患者さんの役に立てばと思ってブログを開設しました。患者さんは小児であることがほとんどなので、親御さんがやっておられるブログで情報交換をしたりしました。Twitter(現・X)は悪性ラブドイド腫瘍の診断が出る前に開設していたので、ほかのがん患者さんたちとも交流していました」 がん患者さんとの交流は、「ここでなら話せる」という安心感を持てることもあり、がんではない人たちとの深い溝を感じても、自分は孤独ではないのだと実感できるというがん経験者は少なくありません。その一方で、別れを経験することも多くなります。 「健康な人が私を励ますつもりで『2人に1人はがんになるし、今はがんで死なないよ』と言ったんですけど、同世代やそれより若いがん患者さんたちと交流するようになってかれこれ5年、やっぱり亡くなった仲間は何人もいます。 でも、私も自分がこの病気にならなければ、同じことをしてしまっていたかもしれないですよね。だから、自分が落ち込んだり悩んだりしている人に声をかけるとしたら、どう言ってほしいのかな、なにをしてほしいだろうか、なにをされたら嫌かなということをすごく考えるようになりました。一緒に悲しんでほしいのか、無理にでもポジティブにしてほしいのか。私は〈されてきた側〉だからこそ、すごく悩みます」 監修:西智弘先生(川崎市立井田病院 腫瘍内科部長・一般社団法人プラスケア代表理事)
坂元希美