パテントトロールに反撃--先行技術で特許の無効化を目指すオープンソース界
具体的にはどうするのか。 The Linux FoundationのエグゼクティブディレクターのJim Zemlin氏はこう語っている。「パテントトロールとは交渉しない。United Patentsと共に特許商標庁に赴き、それらの特許を潰す。特許を無効にする取り組みとして、先行技術を持つ開発者らと協力し、USPTOに注意喚起することで、特許の取り消しを目指す。交渉も和解もしない。パテントトロールのビジネスを成り立たせた資産そのものを破壊する。共同でこの取り組みを開始して以来、90%の確率で特許の破棄に成功している」 「今こそ団結すべきだ」。CNCFの戦略プログラムおよび法務担当バイスプレジデントであるJoanna Lee氏はこのように述べた。「エコシステム内のすべての組織に参加を呼びかけている。参戦することで、自社の守りを固めて、顧客の保護、コミュニティーの防衛力の向上、訴訟費用の節減を実現してほしい」 パテントトロール撃退の取り組みに自社とその法務部門を関与させることは重要だが、開発者も貢献することができる。CNCFが発表した「The Cloud Native Heroes Challenge」は、クラウドネイティブの開発者や技術者が賞金や賞品を獲得できるパテントトロール報奨金プログラムだ。 同プログラムでは、不適切な特許を無効にできる既存の技術(特許弁護士はこれを「先行技術」と呼ぶ)の証拠を見つけることが求められる。これには、オープンソースのドキュメント(リリースノートを含む)、公開済みの標準や仕様、製品マニュアル、記事、ブログ、書籍、その他の公開されている情報などがある。 コンテストのルールに準拠した情報を提出した参加者全員に、無料の「Cloud Native Hero」Tシャツが進呈され、今後開催される「KubeCon + CloudNativeCon」の会場で受け取ることができる。優勝者には3000ドルの賞金も贈られる。 CNCFは第1回のコンテストで、米国特許「US-11695823-B1」の請求項1の無効化に使用できる情報を求めている。これは、Edge Networking SystemsがKubernetesユーザーに対して権利を主張している主要な特許だ。こうした特許ではよくあることだが、対象範囲が広すぎる。この特許で説明されているのは、サービスとインフラストラクチャーアプリケーションの完全なライフサイクル管理によって、ユーザーデバイス間やネットワーク全体で安全かつ柔軟なプログラム可能性を促進するネットワークアーキテクチャーだ。これは現代のクラウドシステムのほぼすべてに当てはまる。 こうしたシステムについて米国時間2013年6月13日以前に説明した先行技術を見つけることができれば、優勝できる可能性がある。そのような資料はすでにいくつか見つかっていて、コンテスト情報ページの「Known References」(既知の文献)タブにすでに掲載されており、審査対象にはならない。 オープンソースソフトウェアを安く簡単に使用できる状態を維持したい人や、パテントトロールがプログラムの開発企業や使用企業を食い物にすることを許せないと感じている人は、協力できることがある。筆者も詳しく調べてみるつもりだ。 この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。