【プリンス関西プレーオフ】奈良クラブユースMF川井大地はプリンス昇格を逃し悔し涙「みんなの目標になれるような選手に」
12月14日、高円宮杯 JFA U-18サッカーリーグ2024プリンスリーグ関西 プレーオフ(参入戦)がJ-GREEN堺で行われ、プリンス初昇格を目指す奈良クラブユース (奈良1)が1回戦で興國B(大阪)と対戦。3点差から1点差まで詰め寄ったものの、2-3で敗れ決定戦に進むことは出来なかった。 【フォトギャラリー】興國B vs 奈良クラブユース 前半をスコアレスで折り返した奈良クラブユースだったが、後半に入るとミスからの失点が続き、0-3と一時は3点のビハインドを背負った。しかしそこからMF10川井大地(3年)とFW関口智也(2年)のトップチーム2種登録コンビの2トップにシステムを変え、反撃開始。74分にFKのこぼれに反応した川井がゴール前で押し込み1点を返すと、80分には自ら得たPKを川井がしっかり決めて1点差。それでもあと一歩のところで同点には届かず、悔しい敗戦となった。 奈良クラブユースは今年、日本クラブユースサッカー選手権(U-18)の全国大会に初出場。着実にチームの強化が進んでいる。6月8日にはユースチーム所属のMF川井大地のトップチームへの昇格が発表された。2020年にユースチームが創設された奈良クラブにとってユースからトップ昇格の第一号選手の誕生だった。 トップチーム昇格を決めている3年生の川井にとって、この試合がユースでの最後の試合。プリンス昇格を決めてユースを卒業する。そう意気込んで試合を迎えたが....。 前からハメに行ったプレスは足元の技術で勝る興國Bに剥がされ、勝負に行った場面でことごとくひっくり返され自陣への侵入を許した。前半はなんとか無失点で終えたものの、後半に入るとビルドアップでミスが続き、あっという間に3失点。そこから自身の2ゴールで1点差まで詰め寄ったが、ユースでの有終の美を飾ることは出来なかった。 「自分の力不足。前の選手が点を取れないし、ボールも落ち着かせられなかったから、後ろの選手がしんどくなって、失点に繋がってしまった。練習でやってきたことも上手くいかず、自分がもっと最初から引っ張っていけていたら負けなかったんじゃないかなと思います。絶対に自分が3点取ってPKに持ち込もうと思っていたんですけど、結果的に2点しか取れませんでした」 自分がチームを勝たせられなかった。川井はそう言って肩を落とした。 「1年生の時は県の3部で、土のグラウンドでやっていた。他の先輩たちが積み上げてきたものを自分たちが受け継いで、最後にプリンスに上げたかったんですけど、それができなくて悔しいです」 歴史の浅いチームだが、それでも立ち上げから先輩たちが繋いできてくれたチームを次のステージに押し上げる。その役目を自分たちが完遂するんだと、この舞台に立った。しかし現実はそんなに甘くなかった。 それでもボランチを主戦場にしていた川井が攻撃的なサイドハーフも経験し、この試合ではFWとして2得点。この奈良クラブユースの3年間でプレーの幅を広げ、そしてトップチームに旅立つ。 「トップで活躍して、みんなの目標になれるような選手になりたいと思います」 奈良クラブ下部組織の子どもたちが憧れるような選手になる。悔し涙を流しながらも、川井の目は強い決意に満ちていた。 (文・写真=会田健司)