2ステージ制で浦和Vの価値半減?
試合後のセレモニー。Jリーグの村井満チェアマンから阿部に優勝盾とトロフィー、そしてセカンドステージ終了後に開催されるチャンピオンシップ(CS)への出場権が贈られた。 CS出場権授与に対しては、2ステージ制の再導入に激しく反対してきたレッズのサポーターからブーイングが沸き起こった。異例にも映るシーンを重く受け止めたレッズの選手たちは、ピッチ上で組んだ円陣でこう叫び合っている。 「次の新潟戦、その次のセカンドが大事になる!」 Jリーグ創設時から2004年まで採用された2ステージ制と、今年から復活したそれとは開催方式が根本的に異なる。 以前は同じチームが両ステージを制覇すれば開催されなかったCSが、今年からは最大で5チームで常時開催される。年間総合勝ち点1位がシードされて決勝へ進み、同2位と3位が両ステージの覇者とたすき掛けで1回戦、準決勝を戦う。 重複するチームが出た場合は年間総合勝ち点が優先される。現時点で1回戦への出場権を得ただけのレッズがセカンドも制すれば、自動的に年間1位となってシードされる。 27日にホームで行われるアルビレックス新潟とのファースト最終戦も、年間の総合勝ち点1位、史上初の無敗でのステージ優勝がかかる意味で消化試合にはなり得ない。以前の2ステージ制のように、ファースト覇者の士気が緩み、セカンドで苦戦する落とし穴には陥らないわけだ。 王手をかけたエスパルス戦後。2004年のセカンド制覇と年間勝ち点1位となりながらも横浜F・マリノスに屈したCS、1シーズン制で行われた2006年のリーグ戦初優勝のすべてを知るベテランのMF鈴木啓太は、「個人的な意見」と前置きした上でこう語っていた。 「年間を通して戦うことがリーグ戦だと思っている。小さな声かもしれないけど、プレーしている選手は言っていかないといけないんじゃないかと」 レッズがセカンドも制すれば現行の開催方式に対して議論が再燃する可能性があることも、少なからず選手たちのモチベーションを高めているのだろう。 セカンドでは地力のあるガンバ、経験豊富なサンフレッチェ広島、ファーストで出遅れたアントラーズやマリノスが覇権争いに絡んでくる。包囲網が強まるなかで高いモチベーションを維持し、自立心と我慢強さをベースにしてぶれることなく戦えるレッズはセカンドでも本命となるといっていい。 20日のうちに新幹線で帰京したレッズは祝勝会などはいっさい行わずに、一夜明けた21日にはさいたま市の大原グラウンドで主力がクールダウンに、サブ組が湘南ベルマーレとの練習試合に臨んだ。普段とまったく変わらない光景が、通過点であることを物語っていた。 (文責・藤江直人/スポーツライター)