夏の甲子園で“本物”だったドラフト候補10人
投手でリストアップしたのは全員右腕で、いわゆるA評価をつけたのは、富島の日高暖己(184/77)と日本文理の田中晴也(186/92)の2人だ。共に戦で姿を消すことになったが、日高は5失点して、最速は144キロだったが、下関国際打線から9三振を奪い、田中も海星戦で7失点と炎上しながらも最速は148キロが出ていた。 「日高は昨年日ハムに1位指名された天理の達孝太に重なるスケール感。まだ本格的に投手をして日が浅いらしが、リリースのポイントがもう少し打者寄りになってくれば、もっと良くなると思う。期待値の高い好素材だ。田中は、148キロ出したストレートの力と、しなやかな腕の振り、体幹の強さが魅力」 松井氏は2人に続く第2グループとして最速148キロを出した智弁和歌山の武元一輝(187/86)と、背番号「6」をつけながら大阪桐蔭戦で救援登板して最速147キロのストレートで押し込み縦の変化球で4三振を奪って無失点に抑えた下関国際の仲井慎(177/70)を急遽、リストアップした。仲井は山口県大会ではエースナンバーをつける古賀康誠の倍以上のイニングとなる3試合、25イニングを投げている。 「武元は、柔らかさはないが、馬力がありノビシロを感じさせる。外角に投げきることもできる。驚かされたのは仲井。決して野手投げではないしストレートの質がいい。スピードガン以上の球威を打者に感じさせているように見えた。変化球の腕の振りが変わらないので大阪桐蔭打線がボール球を振らされていた」 10人のリストからは漏れたが、大阪桐蔭の川原嗣貴(188/85)も「大型右腕。プロ向きだと思う。二松学舎大付を完封した試合では1回戦の課題をしっかりと修正していた。OBである日ハムの柿木蓮の高校時代より上ではないか」と評価している。 また松井氏は、左腕として京都国際の森下瑠大(180/75)、二松学舎大付の辻大雅(181/83)、鳴門の冨田遼弥(178/83)、体をひねりサイドから投げ込む明徳義塾の変則左腕である吉村優聖歩(181/72)の4人にも注目していたが、故障明けの森下は140キロまでしか球速が出ず、巨人の大江など左腕育成に定評のある二松学舎大付の辻には「ボールのキレがあった」(松井氏)し、2試合で防御率も1.88だったが球速が138キロ止まりでは苦しい。鳴門の冨田も同じく最速137キロだった。 一方、捕手には好素材が目立った。松井氏は、「1位候補ではないが、打力に加えて、スローイング、キャッチング、ブロッキングのスキルが高く、プロ側が指名して育成したいと考えるいい素材が揃っていた」という。