荒川第一調節池周辺を巡る2時間弱の水辺散歩は、物思いにふけるのにちょうどいい時間
■暴れ川の水害に悩む人々のために計画された治水インフラ 奥秩父に源を発する荒川は、埼玉県から東京都を流れ東京湾に注ぐ一級河川。水系の流路延長は173km(国内18位)、流域面積は2,940km(同19位)におよび、河川敷を含めた最大川幅は日本最大の2,537mを誇る、非常に立派な川である。 荒川の川岸には古くからたくさんの人々が暮らし、農業を営んできた。しかしその名が示す通り大変な暴れ川として知られ、寛保2年(1742年)、安政6年(1859年)、明治43年(1910年)、昭和22年(1947年)、昭和49年(1974年)、昭和57年(1982年)などたびたび大氾濫。周辺の住宅や田畑に浸水し、住民は甚大な被害を受けてきたという。 埼玉県のさいたま市桜区から戸田市の荒川左岸に位置する「荒川第一調節池」は、そうした荒ぶる川の治水対策として計画された、全長8.1kmの巨大インフラである。 計画の全体像は、荒川周辺に5つの調節池を設置するというものだが、現在のところ稼働しているのは、1997年に完成したこの第一調節池のみ。第二・第三の調節池は、第一調節池のすぐ下流にて目下建設中(2018年着工)で、2030年の完成を目指している。第四・第五の調節池も、いずれ着工の予定なのだそうだ。 洪水時には3,900立方メートル(25mプール130,000杯分!)もの水を貯める能力を持つ荒川第一調節池のうち、平時も1,060立方メートルの水を湛える貯水池部分は、埼玉県の愛称である「彩の国」にちなみ“彩湖”と命名されている。
湖の周りには、各種スポーツやヘラブナ釣り、バーベキュー、ピクニックなどが楽しめる公園、散策路なども整備。湖自体も、立ち入り禁止の「自然保存ゾーン」以外は「親水ゾーン」とされ、たくさんの人がウィンドサーフィンやカヌーといったウォータースポーツを楽しんでいる。 彩湖が荒川第一調節池の一部だということはわかる。 ではどこからどこまでが荒川第一調節池なのか――というのがつかみにくいが、どうやら今、自分が見渡しているあたり全域ということらしい。もしも荒川が荒れ狂った場合、公園を含む広大な河川敷全体が水の底に沈む。増えた水をここにしっかり溜め込むことによって、荒川の堤防決壊を防ぐというのが、調節池の役割なのだ。