ラクダをめぐる冒険~リヤド(前編)【「新型コロナウイルス学者」の平凡な日常】
ちなみに、食が合わなくて困るリスクのありそうな国に行く場合には、非常食でカップラーメンを持参することがある。念のため、と思ってカップラーメンをいくつか買い揃えていたのだが、出発の前日。サウジアラビアの日本大使館のウェブサイトに掲載された訪問ガイドを見てみると、「豚肉はもちろん、『豚の成分』が含まれるものも持ち込みNG」とのこと。そして買ったカップラーメンを見てみると、そのすべてに豚肉エキスが入っていた......。 この豚のエピソード然り、サウジアラビアは、イスラム教の戒律にきわめて厳しい国ということである。サウジアラビアの日本大使館のウェブサイトを見ても、おどろおどろしい文言が並ぶ。たとえば、現地女性を撮影するのはNG。意図せずに映り込んでしまうのもNG。仮に本人がOKでも、後日家族がNGと言えばNG。また、王宮・政府関連の建物の撮影もNG。しかし、どれがNGの建物なのかは必ずしも明示されていない、とのこと。 観光OKになったとはいえ、サウジアラビア関係の観光情報やYouTubeが少ないのは、おそらくこの辺が理由なのだろう。そしてもしこれらを破った場合には、「身柄を拘束される恐れがあります」。さらには、「窃盗は手首切断、殺人は斬首刑」とものものしい説明文が続く......。 それよりなにより、イスラム教の戒律上、サウジアラビアでは一切の飲酒ができないとのこと(もちろん持ち込みもNG)。普段は毎日晩酌する私にとって、これはなかなかに苦しい......。 ――と思っていたのだが、今回は副鼻腔炎を患っての訪問である。これはある意味、事前に禁酒の備えができた、とポジティブに捉えることができるのかもしれない、と思ったりもした。 ※中編はこちらから 文・写真/佐藤 佳