ラクダをめぐる冒険~リヤド(前編)【「新型コロナウイルス学者」の平凡な日常】
■中東の国・サウジアラビア王国へ 今回の目的地は、サウジアラビアのリヤドという都市。同国の首都で、アラビア半島のど真ん中に位置している。サウジアラビアといえば砂漠のイメージがある。乾燥していて、砂吹雪が吹き荒れる街であることは想像に難くない。飛行機をうまく乗り切って無事に辿り着けたとしても、副鼻腔炎の症状改善が見込めそうな気配はない。 羽田から中継地のカタール・ドーハまで12時間。お医者さんにもらった点鼻薬などを駆使し、無事離陸に成功。副鼻腔炎という制約がある以上、機内でできることもかぎられている。前月のエクアドル出張で野口英世のエピソードに触れていたこともあり(59話)、野口の史実をつまびらかに描いた『遠き落日』(渡辺淳一・著)を旅のお供に選んでいた。カモミールティーを飲みながらそれを読み、薬を飲み、眠くなったらひたすら寝た。 ドーハのハマド国際空港では、なんと8時間強の乗り継ぎ待ち。めぼしい仕事はこの出張前にあらかた片付けていたので、幸いにして私のTo Doリストにはほとんどなにも記載がなかった。日本からのメールを処理しようとも思ったが、この日はちょうど日曜で、メールもほとんど届いていない。仕方がないので、やはりバカのひとつ覚えのようにがぶがぶとハーブティーを飲みながら、読書をしたり、コラムを書いたりして比較的ゆったりと過ごした。 ドーハからサウジアラビアのリヤドまでのフライトは1時間半ほど。たったそれだけの距離のために8時間も待たされたのはなんとも不条理な気もするが、ともあれ無事、リヤドのキング・ハーリド国際空港に到着。幸いにして、副鼻腔炎の症状も大きく悪化することはなかった。 サウジアラビアは、2019年にようやく観光ビザが解禁になった国ということで、観光やグルメについての情報がほとんどない。ネットやYouTubeで調べても、よくわからない。「中東料理」と聞くとなんとなくのイメージは湧くが、「サウジアラビア料理」まで絞って検索すると、数えるほどの情報しか出てこない。