三菱自の株主総会でファン熱望「ランエボ作って」 国内商品拡充を願う声
海外向けモデルの導入望む声も
「三菱らしいクルマをもっと作ってほしい」……株主総会で聞かれたのは、モデルラインナップの拡充を願うファンの声だった。 【写真】海外で頑張ってこい! 期待の三菱最新SUVシリーズ【新型エクスフォース、エクスパンダー、ASXを写真で見る】 (20枚) 三菱自動車は6月20日、東京都内で第55回定時株主総会を開いた。出席した株主からは株価低迷に関する指摘だけでなく、商品戦略としてパジェロやランサーエボリューションなど同社の代表的なモデルを復活させてほしいという要望も挙がった。 昨年度、売上高(2兆7896億円)と営業利益(1910億円)で過去最高を記録した三菱。日本国内でも軽自動車のデリカミニやピックアップトラックのトライトンなどの新型車を投入し、注目を集めているが、まだラインナップが十分充実しているとは言い難い。この点は三菱も自覚しているようだ。 三菱はアセアンやオセアニア地域、アフリカ、北米、欧州などグローバルに展開するが、海外でしか販売されていない日本未導入モデルも多い。 例えば、インドネシアなどのアセアン市場ではクロスオーバーMPVのエクスパンダーを2017年に発売し、昨年には1.6Lのハイブリッドモデルを追加した。全長4595mm、全幅1750mm、全高1700mmの3列シートMPVで、サイズ的にはアウトランダーPHEVより小さく、数字を見る限りでは日本でも扱いやすそうな印象を受ける。 このエクスパンダーについては日本への導入を望む声が一定数あるようだ。しかし、三菱の加藤隆雄社長は総会で、株主側からの事前質問に答える形で「エクスパンダーはアセアン向けに開発したモデル。日本では交通環境や規制が異なるほか、ミニバン(MPV)にはスライドドアが求められる」として日本導入は厳しいと述べた。
RVR後継は? 今後の方針
また、ある株主からは「エクリプスクロスでは街中で大きすぎる。コンパクトなモデルはないのか」という質問があった。これに対し、商品戦略本部長の並木恒一氏は「コンパクトモデルとしてRVRがあるが、モデルチェンジができていない」と認めた上で、「投入は最優先事項だ。開発力を高めていきたい」と新型車開発の意気込みを示した。 現行世代のRVRは2010年に発売されたが、フルモデルチェンジすることなく今年に入って生産終了が伝えられた。現状、軽自動車を除く三菱のコンパクトモデルとしては、スズキからOEM供給を受けるデリカD:2のみ。アセアン市場ではRVRとほぼ同サイズの新型エクスフォースが投入されたが、今のところ日本への導入計画は確認されていない。 別の株主からはパジェロ、パジェロ・ミニ、ランサーエボリューションを日本で売ってほしいという意見も挙がっていた。これに対し、加藤社長も「三菱らしいクルマを開発していきたい」と思いをにじませたが、「収益性」の観点からすぐに実現することは難しいという。 新型車の投入には莫大なコストがかかる。収益性の見通しが立たなければ実現は叶わない。では、すぐには難しいとしても、将来的に可能性はあるだろうか? 三菱は2023年度から2025年度までの中期経営計画「Challenge 2025」を始動したばかり。初年度の2023年については、中国やロシアからの撤退、新型車の投入など、「過去からの流れを大きく変える起点となる年」になったと振り返る。今後は安定的な収益基盤を築いたうえで研究開発費や設備投資を増やしていくという。