日本とは思えないカルストを望む! 伊勢湾に浮かぶ「神島・菅島」船旅&プチ登山
三重県の鳥羽と愛知県の渥美半島の間には、伊勢湾と太平洋の境界を成す、いくつかの島が浮かんでいます。その中で、伊良湖岬に近い「神島」と、鳥羽に近い「菅島」の二つの島を訪ね、船旅とトレッキングを楽しんできました。まずは前編で神島をご紹介します。 【写真】三島文学『潮騒』の舞台で登るプチ登山の行程をじっくり見る(全12枚)
海上国道で三島文学『潮騒』の舞台へ
神島は、鳥羽港から北東約14kmに位置する、周囲約4kmの小さな離島です。その名の通り、古くから神が宿る島として敬われてきました。鳥羽市の天然記念物に指定されているカルスト地形をはじめ、美しく自然豊かな環境で、海の幸に恵まれた素朴な漁村の佇まいも、とても素敵な島でした。 近鉄特急で鳥羽へ、そして佐田浜にある鳥羽マリンターミナルから船に乗ります。 鳥羽駅から連絡通路でつながっているマリンターミナルからは、鳥羽市の定期船が発着しています。菅島、答志島、神島の3つの島を結んでおり、航路によっては目の前の坂手島へ行く便もあるみたい。定期船を乗り継いで、離島めぐりができるちょっとお得な周遊券も発売されていました。 ちなみに、静岡県浜松市と、和歌山県和歌山市を結ぶ国道42号は、総延長約520kmあるのですが、伊勢湾で陸路が分断されており、伊良湖岬と鳥羽を結ぶこの航路は、「海上国道」となっています。 小さな船ですが、なかなかのスピードで、伊勢湾の青い海をぐいぐいと進みます。この日は風が強く、かなりの波が立っていたのですが、船の力強さを実感しました。40分ほどの船旅で神島の港へ到着。 港へ降り立つと、目の前に「三島文学 潮騒の地」という看板が。三島由紀夫がこの作品を執筆するために探したのが「風光明媚で、豊かな漁村。素朴で文明に汚されていない島」。水産庁の力も借りて探し出したのがこの島で、まさにイメージ通りだったそう。 この島に滞在して、生命力にあふれる若い漁師と、船主の娘で美しい海女がつむぐ純愛物語を書き上げたところ、その作品はたちまち評判を呼び、映画化もされたそうです。初代ヒロイン役を演じたのは吉永小百合さん。その後も山口百恵さん、堀ちえみさんなどがヒロインを演じ、5回も映画化されたとか。島内のあちこちに映画のポスターやロケのときの写真が飾られていました。