全世界が緊張する「トランプストーム」…就任初日に政策41件覆す(1)
4年ぶりに帰ってくるトランプ次期米大統領が国政大転換作業に本格的に着手した。トランプ氏の2期目は1期目(2017年1月ー2021年1月)の経験を基づいてさらに強力な「アメリカファースト(米国優先主義)」政策を展開すると予想される。共和党は上院に続いて、開票が進行中の下院でも過半(218議席)が有力視される。上下院をともに掌握すればトランプ氏は強力な行政・立法権力を基盤に果敢に国政を進め、バイデン氏の足跡を消そうとする公算が大きい。 トランプ氏は大統領選挙の勝利が自身に傾いた6日午前、事実上の当選受諾演説で「米国を治癒する。米国のすべての問題を正す」と述べた。選挙運動期間中には「就任初日にだけ独裁者になりたい」とも話した。来年1月20日(現地時間)の第47代大統領の就任式と同時に巻き起こる「トランプストーム(暴風)」に米国はもちろん全世界が緊張して注目する背景だ。トランプ氏はこうした作業の一環として7日、スージー・ワイルズ共同選対本部長(67)をホワイトハウスの首席補佐官に指名した。 ワシントンポスト(WP)がトランプ氏が大統領選挙出馬を公式化した2022年11月から今年9月までにした演説文を分析した結果、ワイルズ氏が就任初日にすると提示した公約は計41件にのぼり、これに関する言及の回数は200回を超えることが明らかになった。教育政策への言及が82回で最も多く、移民(74回)、エネルギー(41回)、性的少数者(25回)関連イシューが後に続いた。 このうち就任後すぐに実行に移す「アジェンダ1号」は強力な国境統制政策となる可能性が高い。トランプ氏は7日、NBC放送の電話インタビューで就任後の最優先課題の一つに「国境を強力に築く」ことを挙げた。選挙演説で何回か言及した「不法移民者の史上最大規模追放」方針についても「選択の余地がない。行政府が実行するしかない」と述べた。 公約履行時にかかる費用問題に関する質問にも「それは金額の問題ではない」とし「殺人を犯し、麻薬王が国を破壊している。彼らはもう彼らの国に戻ることになるだろう」と強調した。非営利団体の米国移民委員会(American Immigration Council)が10月に発表した研究の結果、不法移民者1300万人の追放に少なくとも3150億ドル(約48兆円)の天文学的費用がかかると予想されたが、トランプ氏は費用が問題ではないとの立場を明らかにした。 米国優先主義に加えて「力による平和」を前面に出した外交政策も急激な変化をもたらすと予想される。トランプ氏はその間、「就任初日になれば米国の利益を最優先にする外交政策に戻る」と話してきた。政治専門メディアのザ・ヒルは「国際同盟を強調しながらロシアと戦争中のウクライナ支援を主導してきたバイデン政権の外交路線の急変更を予告したもの」と解釈した。 トランプ氏のこうした発言は、ウクライナに領土の一部の譲歩する平和協定を要求し、北大西洋条約機構(NATO)同盟国が防衛費分担金を十分に増額しない場合は敵対国の攻撃を受けても保護しないという懸念を強めていると、米メディアはみている。 実際、トランプ氏はその間、ロシアのプーチン大統領、中国の習近平国家主席、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長など「ストロングマン」と呼ばれる権威主義国家の指導者との親密な関係を誇示し、「うまく付き合うのがよい」と話してきた。トランプ氏はこの日のNBC放送のインタビューで、大統領選挙で勝利が確定してからイスラエルのネタニヤフ首相、ウクライナのゼレンスキー大統領など約70カ国の首脳と電話をした事実を明らかにした後、プーチン大統領とはまだ電話をしていないが近くすると述べた。