JINS「美術館×オフィス」を体現したギャラリーで写真家・高木こずえの展示が開始。10月18日に一般公開も
JINSブランドの刷新にアートの力
アイウェアブランド「JINS」を展開するジンズホールディングスは現在、“Second Genesis(第二創業)”を掲げ、ブランドの刷新に取り組む。その一環として昨年東京本社を移転、地上9階建てのビルを一棟借りし、建築家・髙濱史子のもと「壊しながら、つくる」と「美術館×オフィス」をコンセプトにフルリノベーションを行った。 この新社屋では、3階の商談室フロアの廊下部分をギャラリースペースに活用し、「美術館×オフィス」のコンセプトを体現。監修に長谷川祐子(⾦沢21 世紀美術館館⻑、国際文化会館アートデザイン部門プログラムデイレクター)を起用した。 アーティストの立石従寛、松田将英、保良雄の共作による映像インスタレーション「Gravitation」を展示した第1回展(2023年10月~2024年6月)に続き、2024年9月からは第2回展として写真家・高木こずえの展示「プラネタリウム」を行っている。 10月4日には同社にて「JINS Art Session vol.2」が開催され、長谷川、高木、田中仁(株式会社ジンズホールディングス 代表取締役CEO)が登壇。JINS社員と関係者向けに、今回の展示のコンセプトや作品制作の経緯などが語られた。 高木について、写真分野での素晴らしいキャリアを持ちながら、そこに留まらず様々な表現に挑戦していることを高く評価しているという長谷川。 その高木は今回、旧作に加え、《プラネタリウム》という新作を発表した。本作は、プラネタリウムの建物を撮影したポラロイド写真と、写真をもとにキャンバスにアクリル絵具と写真の古典技法「サイアノタイプ」で描いた作品。サイアノタイプを発明したジョン・ハーシェルが天文学者であったことから、星々を眺めるプラネタリウムを青写真とも呼ばれる技法も取り入れて表現した。 ほかにも富山県の海辺で撮影した新作は、長谷川との対話を経て、当初白黒だった作品に異なる色のレイヤーを重ね、さらなるイメージの広がりを見せた。写真、版画、絵画を往還しながら独自の表現を探求する高木ならではの、多様な作品が展示された。 「プラネタリウム」について長谷川祐子コメント JINSギャラリー第2回目は女性アーテイスト、高木こずえの個展「プラネタリウム」となります。高木は1985年生まれ、2006年から自分にとって身近な風景を写真、コラージュ、絵画、版画など多様なメデイウムによって表現してきました。 「SUZU」は長野県の諏訪地方で、彼女が6歳まで過ごした場所を再訪して撮影したものです。「琵琶島」は現在住んでいる場所で、「プレリュード」は米国ポートランドで撮影されました。撮影した新作が加えられています。高木は、「自分の目の前にあるものを撮らない、それを追っていった先にある、何かにつながっているものを撮りたい」と語ります。 「プラネタリウム」は近い星、遠い星が異なった輝きをもってその場に展開しています。 一つ一つの写真の光景は異なった時間に存在する。例えば6歳時と自分の「現在の時間」との距離をはかりながら、それぞれの瞬間が放つ光の輝きをとらえる。その視点は彼女の写真に、透明でありながら生命力に富んだ活気を与えています。写真を撮る行為は身近な風景を「遠い」ところにむすびつける、「見る」ということの可能性を拡張してくれる行為でもあるのです。 「プラネタリウム」について高木こずえコメント 写真は変化だと思うのです。 ある光景が、ネガになったり、プリントになったり、データになったり、版木になったり、版画になったり、絵になったりする。それが私が写真だと思っていることです。 写真は変化します。容れものは乗りかえられ、イメージは移動します。その移動のさなか、イメージはしばしば見えなくなります。暗いカメラの中、ネガの反転の中、薬液の中、ハードディスクの中、版木の奥、真っさらなキャンバスの上… そういう場所に潜んで姿を消し、新たな姿でふたたび現れる。それが写真。だから、写真は変化、そして明滅。 ここにあるのは「SUZU」(2011)、「琵琶島」(2012-2017)、「プレリュード」(2018)の過去のシリーズと、2024年作のあたらしい数点です。変化と明滅をくりかえし、ここまで届いた光景です。
10月18日(金)に一般公開
通常は従業員や関係者のみが入れるこのギャラリーだが、10月18日(金)11:00~14:00に特別に一般公開される。 入館方法は10月4日(金)9:00から10月18日(金)13:30までの期間に「ONCA COFFEE神田店」にて商品を購入すると、特別鑑賞チケットが配布される。当日は1階にてチケットと引き換えに入場可能だ。 気になる人は、この貴重な機会にぜひ足を運んでみてはいかがだろうか。
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