【専門家解説】拘束の韓国・ユン大統領 当面の焦点は‟48時間”今後起訴か 「無期懲役か死刑」の内乱罪判断が焦点に 支持率低下の野党には焦りも?
韓国の尹錫悦大統領が出した「非常戒厳」をめぐって、合同捜査本部は15日朝、大統領への拘束令状を再執行し、ユン大統領を拘束したと発表しました。 韓国で現職の大統領が拘束されるのは、史上初めてです。 これまでの経緯と朝鮮半島の内情に詳しい龍谷大学の李相哲教授の解説です。 【橋下徹氏が今年の政治を徹底解説】どうなる?石破政権 “少数与党”の自民 企業団体献金めぐり他会派と“溝”も…「透明性の向上が一番大事」「国民全体の負担を求めるなら政治家も金の問題をきれいに」
なぜ今回はすんなり拘束に応じた? 大統領が警護庁の”強硬派”なだめたか
ユン大統領を拘束しようという動きは今月3日にもありましたが、捜査本部が大統領警護庁との攻防の末、約5時間半で拘束を断念しました。 このときにユン大統領側は拘束令状は不法で無効だと主張していました。 今回、再び拘束を試みた背景は何でしょうか。 李教授:捜査令状は前回と同じです。今回は警察も警護庁も武器を捨てました。このため、例えば誰かが発砲し、そこから流血事態に発展するといった偶発的な衝突の可能性を予めなくしました。衝突に発展すれば現在の韓国では内乱状態に陥る可能性もあります。それを避けるために、ユン大統領も拘束に自ら応じたと発表しました。 大統領警護庁の中も強硬派と穏健派で分かれていて、大統領のためなら命を張るというふうな警護隊もいたらしく、ユン大統領はそうした隊員をなだめて、拘束に応じるので対抗する必要はないと伝えたといわれています。
当面の焦点は今後‟48時間” 起訴は確実か 「無期懲役か死刑」の内乱罪判断は
ユン大統領は今後どうなるのでしょうか。 15日の段階でユン大統領を拘束できるのは最大で48時間です。この間に逮捕状が出れば、検察は最大20日間拘束して捜査します。 起訴されれば、裁判所の拘束が最大6カ月となります。その後、3審まで裁判が行われれば、18カ月拘束される可能性もあります。 ユン大統領が逮捕・起訴される見通しはあるのでしょうか。 李教授:起訴されるのはまず間違いないと思う。ユン大統領は内乱の罪で拘束されています。内乱の罪は韓国の刑法で無期懲役か死刑しかありません。それが認定されるかどうかはこれからの法廷闘争になると思います。
実はユン大統領の支持率は上昇中? 裁判所の判断に影響も 背景には野党への批判か
14日には、憲法裁判所ではユン大統領の弾劾裁判の初公判が行われました。大統領として適任かどうかが最大半年かけて話し合われます。 一方、現在韓国では、ユン大統領率いる与党の支持率が上昇しています。 「非常戒厳」が出されたとき、与党は国会で何も決定できないという状況で、支持率も大きく低下していました。 しかし、ここにきて支持率が上がり、最大野党「共に民主党」とほとんど差がないほどになってきています。拮抗している理由は何でしょう。