【尹錫悦大統領を拘束】韓国で『内乱罪』は無期懲役・死刑レベル 『大統領を屈服させた』という野党のアピール?混乱の裏側には「与党vs.野党」の政治的な戦いが...【専門家が解説】
韓国の尹錫悦大統領の『非常戒厳宣言』を捜査する合同捜査本部は1月15日、内乱を首謀した疑いで尹大統領に対する拘束令状を執行しました。韓国で現職の大統領が拘束されるのは史上初めての事態。いま、いったい何が起こっているのでしょうか?朝鮮半島情勢に詳しい東海大学の金慶珠教授に詳しく聞きました。 【写真で見る】一連の“逮捕劇”の裏にある「尹大統領」側と「野党」側の思惑とは? ◎金慶珠:東海大学教授 専門はメディア論 朝鮮半島情勢に詳しい 韓国・ソウル出身で幼少期を兵庫・西宮で過ごす
尹大統領めぐる「弾劾裁判」と「内乱罪にあたるかどうかの捜査」
去年12月に出された尹大統領による「非常戒厳宣言」をきっかけに混乱が続いています。その後、弾劾訴追案が可決となりました。現在、尹大統領は弾劾裁判にかけられていて、辞めさせられるかどうかが決まります。1月14日には初弁論が行われましたが、尹大統領は欠席しました。 ―――金教授は、この弾劾裁判について今後どのような結果になると予想しますか? 「遅くとも4月には結果が出る、早ければ2月末か3月とも言われていますが、争点は結構シンプルです。去年12月3日に出された戒厳令が重大な憲法違反であるかどうか、この1点が争われることになりますが、おそらく弾劾は免れないというのが大方の見方です。そうなると、その後60日以内に次の大統領選挙が行われるという流れです」 非常戒厳宣言をめぐっては、内乱罪にあたるかどうか、刑事事件としても捜査が進められています。これまで3度の出頭要請がありましたが、尹大統領は応じず。そして、2度目の拘束令状執行で1月15日に拘束をされました。 ―――内乱罪とは、どのような刑なのでしょうか? 「内乱罪は非常に重い罪です。大統領は国のトップですから様々な免責特権などがあるんですけれども、内乱罪のみ訴追ができる仕組です。内乱罪で有罪になると、『無期懲役または死刑』以外には該当しない、それだけ重大な罪ですので、尹大統領も相当、司法的な戦いを繰り広げると思いますが、最高裁においてまで内乱罪になるかは法曹界も意見が分かれるところです」 韓国では過去に後に大統領になった全斗煥氏(1980年代の軍事クーデターで政権を取った勢力)が、民主化になった後に内乱罪で死刑判決を受けたことがあります。ただその後、次の大統領の恩赦という形で死刑は実際には執行されなかった歴史がありました。