【1980~90年代に大流行】 みんな大好きリトラクタブル・ヘッドライト!
2代目プレリュードを所有していた想い出
個人的な話で恐縮だが、これまで筆者は輸入車、国産車合わせて約50台の愛車と暮らしてきた。その中にリトラクタブル・ヘッドライトである、新車で購入したホンダ2代目プレリュード(AB)の5速マニュアル車が含まれている。 プレリュードを選んだ理由はもちろんリトラクタブル・ヘッドライトであることもあるが、そもそもエクステリアデザインが気に入った。FF車とは思えない極端に低いノーズ。端正な3ボックスの優雅なシルエット。1本ワイパー、それに低い着座位置や充実した装備類、走りもスポーツカーと呼んでいいほど洗練されていた。低いノーズに収まる足まわりはなんとダブルウィッシュボーン式サスペンションだ。 納車されてからは毎日のようにプレリュードで走り回った。1980年代当時は同車種のクルマとすれ違うときにパッシングする風習があったが、私の記憶が確かであれば、2代目プレリュードの前期型はヘッドライト開閉ボタンでライトを上昇させてからでないとパッシングが出来なかったが、それは不便でもあり楽しい儀式でもあった。またヘッドライトを上昇させていると、高速域での加速が遅くなった記憶もある。おそらく最高速度にも変化があったに違いない。 このようにリトラクタブル・ヘッドライトは良いことだけではなかったが、衝突時の歩行者保護の観点から姿を消してしまったのは寂しい。現代の安全技術を導入して新たなリトラクタブル・ヘッドライト車が生まれることに期待しよう。
木原寛明(執筆) 平井大介(編集)