金融庁、メガバンクの海外ファンド向け融資を検証へ-屋敷局長
(ブルームバーグ): 金融庁は3メガバンクが米国を中心に展開しているファンド向けビジネスの実態調査に乗り出す。つなぎ資金などの融資が増えていることを踏まえ、リスク管理体制を軸に検証する方針だ。屋敷利紀総合政策局長がブルームバーグとのインタビューで明らかにした。
屋敷氏は、ファンドに投資家から投資資金が払い込まれる間のつなぎ融資(サブスクリプションファイナンス)やファンド資産を担保とするNAVファイナンスが増えていると指摘。「急拡大しているプロダクトについては、それに見合った実効的なガバナンス体制などが構築されているかを確認する必要がある」と述べた。
三菱UFJフィナンシャル・グループなどのメガバンクはここ数年、海外でプライベートエクイティー(PE、未公開株)ファンドや企業に直接融資するプライベートデットファンド向けのビジネスを強化している。このため、金融庁は市場急変時への対応計画の整備などを点検する必要があると判断した。
日本銀行の調べによると、3メガバンクによる米州ファンド向けの貸出残高(2023年9月末)のうち、サブスクリプションファイナンスは250億ドル(約3兆7400億円)超となっている。
屋敷氏は「サブスクリプションファイナンスは相対的にリスクは低い」との認識を示しながらも、「例えば融資期間が長くなっていないかといったところは着眼点になるかもしれない」と言及した。
地銀も点検
地方銀行については、買収先企業の資産などを担保とするレバレッジドバイアウト(LBO)融資に関するリスク管理体制などの検証を進める方針だ。背景にはLBO融資を含むストラクチャードファイナンス(仕組み金融)を成長領域として強化する地銀の増加がある。
屋敷氏は「企業のニーズに応じたLBO融資の積極的な供与は、地元経済にとっても望ましい」としつつも、実効性のあるリスク管理体制の整備が前提と強調。7月公表の調査では「LBO融資のポートフォリオを会議体に報告すらしていない」地銀もあるとした。また、中途採用を含めた専門人材の確保・育成の必要性も訴えた。