文教族の影響力低下で関係変化?教員予算巡る文科省と財務省の攻防
教員予算を巡り、文部科学省と財務省が激しい論戦を繰り広げている。 残業代を支払わない代わりに給料月額に上乗せする「教職調整額」の大幅引き上げを要望している文科省に対し、財務省が業務時間の縮減を条件に段階的に増やす案を突きつけた。 【円グラフで見る】朝5時起床…ある教員の長い1日 予算編成を前に財務省が「独自案」を出すのは異例とされる。背景には、「文教族」と呼ばれる議員の影響力低下に伴う霞が関と永田町のパワーバランスの変化がありそうだ。 財務省が独自案を提示したのは11月11日に開催された財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の分科会。文科省の内部からは「裏金問題などで文教族議員が相次いで落選し、影響力が低下したタイミングを狙われたのではないか」との声が漏れた。 文教族は、教育行政に精通し、文科省の政務三役を務めたり自民党の文科部会に所属したりして、政府の教育政策に対して発言力が強い議員の俗称だ。 かつての森喜朗元首相や伊吹文明元衆院議長、河村建夫元官房長官らが該当する。これまでは永田町の文教族が霞が関の官僚に対して優位に立ってきたという構図があった。 当の文教族はどうみるのか。旧安倍派幹部で裏金問題により党役職停止1年の処分を受けた萩生田光一元文科相は取材に対し「霞が関と永田町の力関係というのは、いつの時代にもある。仲間が落選したり引退したりする中で、(財務省は)今がチャンスだと思ったのかもしれない」と話した。【斎藤文太郎、加藤美穂子】