国内のバーバリーブランドはどうなるの? ライセンス契約終了の背景と先行きは
今年5月、「アパレル大手の三陽商会と英国バーバリー社のライセンス契約は、2015年6月で終了」とのニュースは、業界を超えて大きな波紋を呼びました。定番のトレンチコートやチェック柄マフラーなど、多くの日本人に親しまれたブランドだけに困惑と混乱が広がりましたが、ライセンス展開の「バーバリーロンドン」は来年の春夏物が最後。7月以降は百貨店などの売り場から消え、バーバリーが企画・製造するグローバルレーベルのみが、バーバリーの直営店だけで販売されることになります。 また、日本独自の普及版ブランドとして三陽商会が立ち上げたバーバリー・ブルーレーベル(女性用)とバーバリー・ブラックレーベル(男性用)は、「バーバリー」の名前とブランドマークを外し、新しいサブブランドを付した「ブルーレーベル」「ブラックレーベル」としてリスタートします。両レーベルはすでにロゴを刷新。ホースマークが消え、BURBERRYの文字とレーベル名のサイズ・配置を逆転させた新デザインが、秋物からタグや値札に反映されています。 8月下旬から、百貨店の各売り場にはバーバリーの秋冬物が並び始めています。特に地方店では、来年の販売終了を見越して早めに買い求める人が増えているようです。「ブルー、ブラックの派生ブランドは本物のバーバリーではない」といったブランド原理主義的な意見もありますが、やはり日本市場での浸透度を象徴する情景といえそうです。 両社の契約については、もともと「2015年以降の再更新は困難」と見る向きが多数派でした。アパレル以外の小物類は西川(バッグ、革製品)、大塚製靴(靴)、西川産業(タオル、寝具類)、根岸商会(ベルト)、福助(靴下)など、2010年以降次々にライセンス契約が終了していました。三陽商会の場合も当初2020年までの契約期間が、バーバリーが日本での直接販売をスタートさせた2009年に同社の意向で5年短縮されています。外堀を埋められ、「来るべき時が来た」といったところでしょうか。 とはいっても、三陽商会にとってバーバリーは年間売上高約1000億円の約半分を占める基幹ブランド。OEM商品の供給先や原材料の仕入先、さらに全国の百貨店を中心に約300店規模とされる売り場も含めて波及度は計り知れません。契約終了を発表した翌日、三陽商会の株価は年初来の最安値にまで下落しました。 三陽商会との契約は、バーバリーが全世界で上げるライセンス収入の60%以上を占めていますが、売上高全体では3%程度。近年、直営店での売り上げを倍増させているだけに、方針転換の勝算は十分ということでしょう。バーバリーは日本国内に14ある直営店を、2016年度までに37店に増やす計画といいます。