空き家認定で「固定資産税6倍」持ち主へ解体費用「全額請求」も… 不動産相続「放置」で必ず後悔する“大き過ぎる”代償
空き家所有者は「税金の負担が増える」
さらに「空き家の発生原因は、半数以上が相続によるもの」「(相続後)そのまま放置されてしまうケースが珍しくありません」(政府広報オンライン)として、これまでは任意だった不動産(家屋・土地)の相続登記(所有権の移転)が“義務化”。 「(相続人は)自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から三年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない」(不動産登記法第76条の2第1項)ことが定められた。 相続人が極めて多数に上るなどの正当な理由がなく申請を怠った場合は、10万円以下の過料支払いの対象となる。 そして何より、空き家の放置によって「税金の負担が増える」ことは知っておきたい。 本来、住宅やマンションなどの居住建物の敷地である「住宅用地」には、固定資産税の評価を引き下げる特例(=住宅用地特例=、200平方メートル以下の土地は6分の1に減額、200平方メートルを超える土地は3分の1に減額)が設けられている。 しかし、「特定空家」またはそれに至りかねない「管理不全空家」と勧告された場合、特例が解除され、200平方メートル以下の土地では納付する固定資産税が約6倍にはね上がることになる。
強制的に解体され費用請求される場合も
放置された空き家は、老朽化による景観の悪化、崩壊の危険などで近隣住民とのトラブルにもつながりかねない。 大田区は昨年12月、同区南蒲田に建つ老朽化した「特定空家」1棟に対し行政代執行を実施。2階建て家屋の全部除却を行った。 「空き家は所有者の方に適正に管理していただくことが大前提になり、行政代執行は基本的に行いません。しかし、近隣の方々に危害を加える恐れがある場合は、(近隣住民の)ご迷惑にならないように最低限のことを行います。なお、代執行に掛かった費用については(所有者に)全額を請求させていただきます」(大田区建築調整課長) 空き家数が90万戸に上る首都・東京も都民らへの啓発活動などに力を入れている。 東京都住宅政策本部は『東京空き家ガイドブック』や『東京住まいの終活ガイドブック』などを発行。 「空き家の適正な管理や利活用方法、今の住まいを将来どのように引き継ぐのか、家族で話し合っておく必要性などについてお伝えしています」(担当者) また、空き家に関するさまざまな相談に無料で対応する『東京都空き家ワンストップ窓口』を設け、各種アドバイスも行っているという。 不動産の相続人となった場合、あるいは相続人になる可能性のある人は、早めに、確実に手続き(準備)を進めていくべきだろう。
榎園哲哉