トランプ次期政権の経済政策への警戒を強めるFRB:1月利下げ見送りはほぼ確実に(12月FOMC議事要旨)
トランプ政策が生むスタグフレーション的状況は必ずしもドル高要因ではない
こうした利下げ観測の後退は、米国長期金利の一段の上昇やドル高を生じさせている。ただし、トランプ次期政権の経済政策は、引き続きかなり不透明である。その影響を事前に見越して金融政策を決めることはできない。FRBもしばらくは、トランプ次期政権の経済政策の行方を慎重に見極めることになるだろう。 追加関税や移民規制強化が物価上昇率を押し上げることをFRBは警戒している。しかしそれらは、同時に景気を悪化させる要因でもある。その結果、米国経済がスタグフレーション的な様相を強めれば、FRBの金融政策は動きにくくなるが、そうした状況ではドルは一般的には安くなりやすいという点に注意が必要だ。 物価高リスクを警戒してFRBが利下げを躊躇うことで、景気の悪化がさらに進み、いずれは大幅な利下げを余儀なくされる、との観測が生じるためだ。そのため、トランプ次期政権の経済政策は米国長期金利の上昇、ドル高をもたらすもの、と決めつけるのはリスクが高いだろう。 木内登英(野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト) --- この記事は、NRIウェブサイトの【木内登英のGlobal Economy & Policy Insight】(https://www.nri.com/jp/media/column/kiuchi)に掲載されたものです。
木内 登英