岸田首相が総裁選への不出馬を表明、政治不信招く事態にけじめ
(ブルームバーグ): 岸田文雄首相は14日午前、官邸で記者会見を開き、9月の自民党総裁選に立候補しない考えを明らかにした。岸田首相の出馬見送りで、自民党内では「ポスト岸田」候補の動きが加速する。
岸田首相は「自民党が変わることを示す最初の一歩は私が身を引くことだ」とした上で、「来る総裁選に出馬しない。新たなリーダーを一兵卒として支えることに徹する」と述べた。旧統一教会や政治資金の問題など国民の政治不信を招く事態が生じたとし、当面の外交日程にひと区切りがついたこの時点で不出馬を表明し、けじめをつけたと説明した。
麻生派以外の5派閥が解散を決めてから初の総裁選で、多数派工作は複雑化しそうだ。来年は夏に参院選が予定され、衆院も同10月に任期満了を迎える。新総裁には「選挙の顔」として党勢の立て直しが求められる。
総裁選には茂木敏充幹事長や石破茂元幹事長、河野太郎デジタル相、高市早苗経済安全保障担当相らが意欲を示しているほか、上川陽子外相、小泉進次郎元環境相、当選4回の小林鷹之前経済安全保障担当相らの名前も挙がっている。共同通信によると、総裁選の投開票日は9月20日と27日が候補に浮上している。
岸田首相は会見で、次期総裁候補について「何か申し上げることは控える」としながらも、「一連の改革マインドが後戻りすることがないような方であってもらいたい」と指摘。その上で、「オール自民党でドリームチームを作って、この信頼回復に向けてしっかりと取り組んでもらいたい」と語った。
岸田首相は2021年9月の総裁選で河野氏らを破り、当選した。首相としての在任期間は2年10カ月を超えたが、後半は旧統一教会と自民党議員の関係や派閥による政治資金規正法違反事件への対応に追われた。内閣支持率は低迷し、自民党は4月の衆院3補選で全敗したほか、静岡県知事選などでも支援した候補が敗北。首相への批判が強まる中で行われた7月の都議補選も2勝6敗と負け越した。