PGAツアーの“少数精鋭化”に大乗り気!? トップ選手たちが感化された“MLB上層部のワークシート”には何が書いてあった?
シニアツアーを「45歳以上」にして中年選手をお払い箱に?
ところで、昔も今も「50歳以上」が参加条件となっているシニアのチャンピオンズツアーの門戸を「もっと開くべきだ」という声も実はある。 50歳ではなく「45歳以上なら出場可」とすることで、チャンピオンズツアーは今まで以上に活性化されるという提案だ。 しかし、逆にこの案は「PGAツアーから45歳以上の選手を締め出そうとしているものだ」「熟年選手の追い出し策だ」という声も上がっている。 現実に目をやれば、21年の全米プロではフィル・ミケルソンが50歳でメジャー優勝を果たすなど「まだまだ45歳、50歳は若い」という見方はもちろんある。 しかし、ゴルフ界の統計家ジャスティン・レイ氏の統計によると、00年から13年ごろまではPGAツアーにおける40歳以上の優勝者は全体の18.2%を占めていたのに対し、13年から14年ごろには、その数字は8.4%へ大幅低下。20年から現在までは、スチュワート・シンクが47歳で挙げた2勝(20年、21年)、ブライアン・ゲイが48歳で挙げた1勝(20年)、それにミケルソンの21年全米プロ優勝などを含めても、わずか4.8%に留まっているのだそうだ。 そうなると、統計的には45歳以上の大半の選手はPGAツアーの試合に出たところで「戦えない」「勝てない」「ファンを惹きつけられない」と見なされ、そうした選手は締め出して少数精鋭化しようという話になりつつある様子である。 PGAツアーの少数精鋭化も試合数の縮小も45歳以上の選手をシニア行きとする提案も、MLB方式の斬新な改革案と言えば聞こえはいいのだが、実際はひたすらリブゴルフ化しているように感じられる。 最終的には、「これらの提案の検討には、もっと時間が必要。結論と実施は26年以降」とされたことには、ちょっぴり安堵。慌てず、焦らず、じっくり検討していただきたい。 文・舩越園子 ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学客員教授。東京都出身。百貨店、広告代理店に勤務後、1989年にフリーライターとして独立。1993年に渡米。在米ゴルフジャーナリストとして25年間、現地で取材を続け、日本の数多くのメディアから記事やコラムを発信し続けてきた。2019年から拠点を日本へ移し、執筆活動のほか、講演やTV・ラジオにも活躍の場を広げている。
舩越園子(ゴルフジャーナリスト)