PGAツアーの“少数精鋭化”に大乗り気!? トップ選手たちが感化された“MLB上層部のワークシート”には何が書いてあった?
「これは、ほとんどこじつけだが、役に立つ」
こうした提案は、これまでのPGAツアーでは議論のためのテーブルに乗せられたことがなく、ある意味、斬新な内容だが、こうした議論が活発に交わされている背景には、野球のMLBの上層部で使用されているスプレッドシート(ワークシート)の存在があると、米メディアは指摘している。 PGAツアーがパートナーシップを結んだ米コンソーシアム「SSG(ストラテジック・スポーツ・グループ)」の役員の1人が、このスプレッドシートをPGAツアーの理事会で紹介したことで、選手理事や一部の選手たちの考え方や姿勢が変わってきているのだそうだ。 スプレッドシートの1行目には、「これは、起こりうることで、役に立つ」と記され、次の行には「これは、まず起こりえないことだが、役に立つ」。その次の行には「これは、ほとんどこじつけだが、役に立つ」と書かれている。 一見、現実的ではないと思われることや、ありえないと思われることでも、実際に取り入れてみると、非常に有益なこともある。常識や前例、慣習や慣例にとらわれず、柔軟な思考と姿勢でモノゴトに取り組むことを推奨するためのステップが記されたスプレッドシートだが、この文言に刺激されたPGAツアーの一部の選手たちのツアー改革へのモチベーションが上がっているのだとすれば、この傾向は、必ずしも悪いものではない。 だが、思いつきのように刹那的にモノゴトを決めようとすることで、ツアーとしての方針に一貫性が見られなくなってしまったら本末転倒である。 実際、PGAツアーの各大会を「少数精鋭化するべきだ」という提案は、昨今、PGAツアーがUSGAやR&Aと足並みを揃えながら取り組んできた若い選手のためのパスウェイ(道)の創設とは、相反するものがある。 米カレッジゴルフの選手たちを大学卒業後にPGAツアーやコーン・フェリーツアー、PGAツアー・アメリカスへダイレクトに導く「PGAツアー・ユニバーシティー」や、世界のトップアマチュアにツアーへの扉を開く「グローバル・アマチュア・パスウェイ」は、これからキャリアを築こうとしている選手たちのためのシステムだが、PGAツアーの大会がどんどん少数精鋭化されて門戸が狭められてしまったら、果たして若いゴルファーのための道や扉は、開かれたのか、狭められたのか、分からなくなってしまう。 扉をどのぐらい開き、どのぐらい閉じるべきか。その調整とタイミングこそが、これからの課題となるのではないだろうか。