一般人はDXをどこまで知っておけばいいのか DXに貢献できる人材になるためのはじめの一歩
生成AI、DX、XTECH、マネジメントへの活かし方……テクノロジーとビジネスはもはや切っても切れない関係にある。日本最大のビジネススクール、グロービスがいま最も力を入れているテクノロジーの「勘どころ」と「使いどころ」を1冊にまとめた『ビジネススクールで教えている武器としてのAI×TECHスキル』を共著として上梓した嶋田毅氏が、テクノロジー、AIなどについて一般のビジネスパーソンは「何をどこまで知っておけばOKか」のラインを明確に解説する。 【写真】新時代のベーシックスキルが1冊でわかる『ビジネススクールで教えている武器としてのAI×TECHスキル』
ここ数年間、DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉を非常によく聞くようになりました。積極的にDXを推進しているとうたう企業も増えてきています。一方で、そもそもDXの内容をあまり理解していない、あるいはDXは社内の一部の人々が関わる事柄であり、自分には関係がないと思っている人も少なくありません。これでは時代に取り残されてしまいますし、組織の中でバリューを出すことも難しくなります。 今回は、DXとは何かを改めて説明するとともに、当事者としてどのようにDXに関与すべきかを解説します。
■DXの本質とは DXに関してはさまざまな人々や団体が独自の定義をしています。 どれにも一理あるのですが、ここでは経済産業省が2018年に提唱した「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」をベースに考えましょう。
この定義における重要なポイントは、「製品やサービス、ビジネスモデルを変革」「業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革」という、2度登場する変革という言葉です。つまり単なる業務プロセスの効率化、コスト削減などにとどまらず、ビジネスモデルそのものを刷新したり(あるいは新規事業として新しいビジネスモデルを生み出したり)、人々の意識・行動変容が実現されて初めてDXに成功したといえるわけです。