ファストリ、セルフレジが予感させるテクノロジー企業への進化
(ブルームバーグ): ユニクロのセルフレジを初めて使った人の中には、バーコードのスキャナーがないと驚いた人もいるかもしれない。
Tシャツやショートパンツ、そしてはやりのショルダーバッグをレジのくぼみに入れていくだけで、さもそこに何があるのか知っているかのように自動で会計を始める。各商品に取り付けられた無線自動識別(RFID)タグをシステムが読み込んでいるのだ。
レジ待ちの時間を半減させたこのシステムは、アジア最大のアパレル企業であるファーストリテイリングで最高情報責任者(CIO)を務める丹原崇宏氏の発案によるものだ。創業者で社長の柳井正氏が掲げる売上高10兆円という目標を達成するために、同氏は必要なテクノロジーを提供する任務に就いている。
「デジタルにアグレッシブに投資するし、優秀な人材もどんどん採用していきたい」。丹原氏はシンガポールで開催された小売りカンファレンスの場でこう語る一方、「デジタルのためのデジタルはしない」とする。
具体的な数字については明言を避けたが、新しいツールやサービスへの支出は2017年からおよそ倍増していると同氏は述べた。700人以上のプログラマーとスタッフが、丹原氏のグループの下で生産、サプライチェーン、電子商取引(EC)、小売業の革新に取り組む。
製造小売業(SPA)であるファストリは、デザインや生産、在庫管理から店舗・オンラインでの販売まで手掛ける。サプライヤーの協力を得ながら、綿、ナイロン、プラスチックなどの原材料がスカート、スラックス、ジャケットになるまでの全工程を厳重に管理する。
欧州での成長ペースを考慮すると、ファストリのサプライチェーンは後れを取るリスクがあり、現地で過去最大規模の倉庫を建設していると丹原氏は説明する。さらに店舗への在庫の配送のチェックなど、RFIDを使うことで効率化できる平凡な作業もまだ残っていると同氏は付け加えた。
柳井氏を説得