「陰毛が一本でも見えたらアウト」...警察の影におびえながらも客を楽しませるために”ギリギリ”を攻め続けた伝説のストリッパー・一条さゆり
変わらない「心」
この劇場も過去に警察の手入れを受けているため、一条は不安を感じている。 「踊り子が可哀そうですから。よその子が行かれ(逮捕され)たら可哀そうだから。それを考えるとご飯が入らないです」 小沢はパンツをはいていることを逆手に、こんなことを提案している。 「安いパンツを買ってきて、みんなにプレゼントするとか、やったらいいんじゃないですか」 「そうですね。考えてみます。要するにお客さんを満足させればいいんだから」 一条のステージに対する情熱は変わっていない。客へのサービス精神は生きている。警察を怖がりながらも、客を楽しませることに一生懸命だ。 「ステージに立つといいかげんなことはようしきらんです」 そして、彼女がこの日、最後のステージに出ると、小沢は突然、司会を買って出た。客席から歓声が上がる。 「その筋(警察)の人はいらっしゃらないですか。信用のおける人だけで、そっと見ていただきたい」 一条は「あゆみの箱」を回す。5000円札を入れる客もいる。 客から声が掛かる。 「さゆりちゃん、ステキ」 楽屋に戻ると、桐の母親が粕汁を作ってくれていた。一条と小沢はそれをすすりながら、再びストリップ談義をして別れた。 『伝説のストリッパー・一条さゆりが音楽デビュー!出所後も舞台に上がり続ける彼女がどうしても忘れられなかった「快感」』へ続く
小倉 孝保(ノンフィクション作家)