「陰毛が一本でも見えたらアウト」...警察の影におびえながらも客を楽しませるために”ギリギリ”を攻め続けた伝説のストリッパー・一条さゆり
1960年代ストリップの世界で頂点に君臨した女性がいた。やさしさと厳しさを兼ねそろえ、どこか不幸さを感じさせながらも昭和の男社会を狂気的に魅了した伝説のストリッパー、“一条さゆり”。しかし栄華を極めたあと、生活保護を受けるに至る。川口生まれの平凡な少女が送った波乱万丈な人生。その背後にはどんな時代の流れがあったのか。 【漫画】床上手な江戸・吉原の遊女たち…精力増強のために食べていた「意外なモノ」 「一条さゆり」という昭和が生んだ伝説の踊り子の生き様を記録した『踊る菩薩』(小倉孝保著)から、彼女の生涯と昭和の日本社会の“変化”を紐解いていく。 『踊る菩薩』連載第80回 『伝説のストリッパー・一条さゆりが復活!「特出し」を封印し、パンツを脱がずに行った“異例のストリップ”』より続く
駆けつけた小沢
一条の復帰を知った小沢昭一が木更津に駆けつけたのは1月5日だった。彼は一条に知らせることなく劇場を訪れ、客席の隅で舞台を見た。「また、捕まるんじゃないか」とハラハラしながら、彼女の股間を目で追いかけた。すると公演の最後、割れたスソの奥から、ちらっとパンツが見えた。安堵した小沢は楽屋を訪ねた。 「トントン」 小沢がノックすると、一条はドキッとした様子だった。 「あっ、先生。こんにちは。入ってください。びっくりしたわ。トントンとするとびっくりするの」 警察が来たのかと思ったのだ。 「どうですか。パンツ見えないでしょう」 小沢は最後にチラッと見えたと答え、2人は正月のあいさつをする。 一条はいかに警察の手入れを警戒しながら舞台に立っているかを説明した。 「あたし、こっちに来てお酒は一滴も飲んでいませんよ」 アルコールが入って客の顔を見ると、後先のことを考えずにオープンしてしまいそうだ。我ながらそれが恐ろしいのだ。少しでもリスクを低減するため、公演期間を当初予定の10日間から8日間に短くしてもらっている。 「(パンツを)はいてやったら、逮捕はできないでしょう。必死です。飲めないです」