「陰毛が一本でも見えたらアウト」...警察の影におびえながらも客を楽しませるために”ギリギリ”を攻め続けた伝説のストリッパー・一条さゆり
一条の後ろめたさ
一条は小沢にお茶と座布団を出し、東映から映画出演の依頼が来ていると明かし、芸能界には復帰する気はなく、引き受けていないと伝えた。正月は店を閉めるから、少しでも収入の足しにと思って舞台に出たと語っている。 「頭のなかに店がある。借金の支払いが毎月80万円です。女の子の給与で200万円。だから最低280万円が必要になるんです」 加藤の見るところ、一条の店の売り上げは月に1000万円にもなっている。実際、開店からしばらくして、彼女は加藤に300万円を返済した。280万円程度の経費を心配する状況ではなかったはずだ。 おそらく一条には、引退を宣言しておきながら、再びストリップをしたことについて、気恥ずかしいような気持ち、自分をとがめる思いもあったはずだ。 出所直後に小沢から、「一緒にお芝居をやりませんか」と誘われた際、人前に出るのは気が進まないと断っている。一条がことさら資金不足を舞台復帰の理由としている裏には、そうした後ろめたさがあったのではないだろうか。 一条は警察の捜査を心配していた。小沢との会話からは、それがひしひしと伝わってくる。 「怖いですよ。ステージに出るのが」 「僕もそんな気持ちで見ていました」 どの程度なら許されるのか、許容範囲がわからない。その不安を訴える一条に、小沢が答える。 「横から毛が見えてもいけないのかどうかとかね」 「ステージでは一生懸命です。(どこまで許されるか)半信半疑でやっています」 「僕の考えでは、陰毛が見えたらダメなんです。横から1、2本見えてもダメ。ナイロン(パンツ)が薄くて、はっきりと写って見えてもダメです」 「だから今はもう普通のパンツはいてますよ。厳重に気をつけてやっています。だから全然見えない。これです」 と言って一条はパンツを見せた。小沢は「弁護士の杉浦(正健)先生に、どの程度なら許されるか聞いてみる」と伝え、一条も「そうしてもらえればうれしい」と応じた。