「そもそも奇跡」ソフトバンク杉山一樹の偽らざる心境 小久保監督への尽きない感謝「普通は入れない」
今週の「もっとホークス」は、中継ぎとして自己最多登板を更新している杉山一樹投手(26)のインタビューです。今季は大きな課題だった制球力に改善が見られ、安定した投球を続けています。昨季はけがに泣き、プロ入り後初めて1軍登板なしに終わりました。そこで抱いた覚悟、そして制球力アップに向けた思考の変化や練習法などを語ってくれました。(聞き手・構成=大橋昂平) ■「良き休みでした」栗原陵矢がモデル妻とラブラブ2ショット【写真】 ―今季は開幕から1軍で投げ続けている。ここまでを振り返って。 「投げてるのが競った場面とか、勝ち(リードした)ゲームではないから落ち着いて投げられている」 ―毎試合どんな気持ちでマウンドに。 「ラスト登板だと思って悔いのないように。マウンドに上がったら何も考えないようにしている」 ―試合前のルーティンはあるのか。 「月曜以外はウエートも含めて毎日トレーニングをやっている。練習終わりと試合の前後の3回に分けている」 ―体の張りは。 「筋肉痛は来るけど、試合ではアドレナリンが出るから問題ない。それよりもゆっくりしている時間がもったいない。成長できる時間はいっぱいある。登板しない日もあるが暇にする時間をなくそうと思って」 ―今季は制球が良くなった。その理由は。 「昨年けがをして、正直、本当にくびだと思った。だから最後ぐらい自分が後悔しない投球をして終わろうかなと思って手先の技術(で制球すること)に全振り(専念)した。やりたいことは一回置いておいて、課題とフルに向き合うことにした。狙った所に投げ続けることを、ずっとやってきた」 ―どんな練習をしてきたのか。 「いろいろな大きさのボールでキャッチボールをした。とにかく受ける人の胸に投げることを意識した。あとは30~40メートル先に立てたコーンに直接当てるとか、10メートルくらい先のコーンに変化球で当てるとか」 ―いつごろからやり始めたのか。 「昨年の夏、けがから復帰する前くらい。リハビリ中に球速も出ないし、制球も良くないから、本当に(野球を)やめようと思った。でも自分の思っている所に投げられなくて悔いが残っていた」 ―それでも球速は出ている。 「球速が出ているのは走者がいなくて展開が楽なとき。多少ずれても球の強さで押せたらいいなという感じで投げている」 ―手先の技術で投げているのは何割くらいか。 「何割か分からないけど、そんなに思い切りは投げてない。操作できる中での全力で投げている」 ―既にシーズン最多登板を更新。今季の目標は。 「とにかく無失点で抑えることだけ考えている。何試合投げたいとかはない」 ―チーム内での役割は何だと考えている。 「負け(リードされている)試合とロングリリーフと大勝ち(大量リード)のとき。自分は接戦で投げられる立場ではないというのは割り切ってる」 ―今年はチームの雰囲気も悪くない。 「小久保さん(監督)には感謝は常にしている。そもそも1軍にいられることが奇跡。小久保さんと倉野さん(投手コーチ)からは『先発で』と言われたのに、それに反論(中継ぎを直訴)したから普通は(1軍の)中継ぎに入れないと思う。小久保さんのためにという気持ちで投げている」
西日本新聞社