改修・リフォーム工事が堅調維持、建築需要を下支え。待たれる〝新築〟の回復
改修やリフォームなど建築物の更新需要が堅調に推移している。住宅、非住宅とも新築が精彩を欠く中、年をまたいで既存の屋根や外壁、内装を維持する工事の動きに大きな変化は確認されず、現場に納入する製品を生産・出荷する各社の稼働を一定の規模で下支えしている。 国土交通省が11日に公表した最新の「建築物リフォーム・リニューアル調査」によると、今年1~3月の受注高は全体で前年同期比6・1%増の3兆1155億円。物価高に伴う受注単価の改定も手伝うなどし、5四半期連続のプラスとなり、住宅が1・1%、非住宅が9%の伸びを示した。受注件数は全体で住宅が18・0%減、非住宅が4・1%増と動きが分かれたのに対し、鉄鋼に関連する主な工事の部位別(基礎躯体・屋根屋上・外壁・内装)を見たところ、住宅で屋根屋上と外壁がそれぞれ1・2%、14・8%増え、非住宅ではいずれも前年同期を7~17%上回った。 新築で需要の端境が長期化する建築市場において、更新工事の底堅さぶりが際立つ。年度ベースでも2023年度にかけて受注高は3年連続で伸長。だがすそ野は広く、他素材との兼ね合いもあってか、鉄鋼素材を主体とする各社の中ではそれらを体感するには至っていない事業所も見受けられる。 国交省が5月末に発表した4月の新設住宅着工は、13・9%増と昨年5月以来のプラスを記録するものの、建材薄板が主戦場とする持ち家は29カ月連続で減少。関連する金属サイディング(外壁)の出荷も、今年2月に0・6%増と2年3カ月ぶりに持ち直した後、3、4月と再び落ち込んだのを挟み、5月に4・6%増と本格回復に向けて足踏み状態から抜け出せないでいる。 非住宅の新設着工床面積も4月にかけて6カ月連続のマイナスとなった。更新需要とともに早期の回復が待たれるところながら、実質賃金が上昇に転じるタイミングや、企業の投資マインドを喚起する好材料が明らかではない中で夏場を迎えようとしている。