なぜ渋滞中に車間距離をあけるのか? 高速道路で役立つドラテク「渋滞吸収走行」のスゴイ効果とは。
まもなくお盆休みの渋滞がはじまる。大型連休期間中の高速道路では、必ずといっていいほど発生する大渋滞。首都圏なら「綾瀬スマートIC(東名高速)」「小仏トンネル(中央道)」などが常態化。30~40km超の渋滞となるときも。このような渋滞スポットは、下り坂から上り坂にさしかかる区間が凹んだ「サグ部」となってる場合が多く、ドライバーによる無意識な減速に原因があるのだが、そうした渋滞を緩和するためドライバー自身にできることとして「渋滞吸収走行」と呼ばれるテクニックがある。 【図】渋滞吸収走行をイラストでわかりやすく!
「渋滞吸収走行」の走り方とは?
大型連休期間中の高速道路で発生する大渋滞。首都圏なら「綾瀬スマートIC(東名高速)」「小仏トンネル(中央道)」などは、大型連休に30~40km超となる渋滞が常態化している。このような渋滞スポットは、下り坂から上り坂にさしかかるところが凹んだ「サグ部」となっているなど、渋滞となりやすい原因があるのだが、渋滞を緩和するためドライバー自身にできることとして「渋滞吸収走行」があげられる。 「渋滞吸収走行」とは、前方で渋滞が発生した場合、あらかじめ十分に車間距離を取って、車間を詰めすぎないように一定速度で走行することで、渋滞の列が伸びないようにするというもの。この“十分な車間距離”がクッションの役割を果たし、前の車が大きく減速しても、自分は速度を保って走行できるのだ。 この渋滞吸収走行は、東京大学の西成活裕教授の研究室、JAF、警察庁が2009年に行った実験でも、その効果が証明されている。 この実験は渋滞の名所である中央道の「小仏トンネル」で、夕方の交通集中時に実施された。まず、適切な車間距離を保ちながら渋滞地点に向かって走行する8台の「渋滞吸収隊」を2車線に4台ずつ配置。渋滞情報を受け、相模湖IC手前から走行を開始し、下り坂区間では車間距離を広く取りながら時速70kmで走行、上り坂区間では時速30~50kmで渋滞の最後尾に追いつかないように注意して走行した。 その結果、後方車両ほど渋滞の影響を受けにくく、一番後ろの車は平均速度が1割上昇した。また、渋滞吸収隊が通過した後、他の車の速度は渋滞前の時速80kmまで回復した。 日本物理学会誌に掲載された西成教授の論文によると、高速道路での交通量と車の密度を分析した結果、1kmあたり車が25台以上いる状態が渋滞であり、これは車間距離にすると約40mであるという。つまり、大渋滞に遭遇する前からすべてのドライバーが車間距離を40m以上とることで渋滞を減らせることになる。 大型連休期間を前に、高速道路を利用して旅行や帰省をするドライバーは、ぜひ「渋滞吸収走行」を覚えておくといいだろう。
文=KURU KURA編集部