激闘・名勝負の代償に眼窩底、鼻骨骨折を負った井上尚弥。2020年ロードにどんな影響が出るのか?
実は、近年、日本のボクシング界では、眼窩底骨折が増加傾向にある。井上の同僚のロンドン五輪銅メダリストの清水聡も、7月のWBOアジアパシフィック・スーパーフェザー級のタイトルマッチで眼窩底骨折を負い、緊急手術して骨折箇所をプレートで補強した。 飯田氏は、「グローブの性能がよくなって昔のような薄いグローブではなくなってきたため、一発で倒すのではなく、目をグローブの平面で押す感じになりスパーリングなどでも眼窩底骨折が増えています。フィジカルトレーニングが広まり、選手がパワーアップしたこと、最近の若い人の骨が弱くなっている、ということなどとも無縁ではないように思います」と、その背景について分析した。 井上は、ドネア戦を終え世界的プロモーター、トップランク社と電撃契約を結んだ。複数年契約で、2020年の次戦から2試合は米国で行い、年末には日本で試合を行う計画が発表された。怪我の回復が順調であれば、その米国デビュー計画への影響は、それほどないものと考えられる。ただ、当初計画よりも米国デビューが2、3か月はずれこむことが濃厚。そうなると2020年の米国2試合、日本1試合の計画は、米国1試合、日本1試合に変更される可能性はあるのかもしれない。 多くのファンを感動に包んだドネアとの伝説の名勝負で、井上は、耐久性についての疑問も解消、「多くの勉強をした。キャリア最大の経験を得た」と大きな収穫を得たが、その代償はあまりに大きかった。