Snow Man・目黒蓮の飾らない「言葉」が、反映したスターの生き様
「STARTO ENTERTAINMENT」(旧ジャニーズ事務所時代を含む)の担当を務めて3年半。その間、いろいろなスターやアイドルと1対1で対峙(たいじ)する機会に恵まれてきた。 木村拓哉は、想像以上のオーラを放ち、発する言葉もオリジナリティーにあふれていた。山田涼介は、整い過ぎた顔立ちに吸い込まれたが、より吸い込まれたのは、強い意思を持った言葉だった。櫻井翔や相葉雅紀は、柔らかな空気感をまといつつ、ここぞという瞬間には語気を強めた。 端正な容姿やスタイルに目が向きがちだが、彼らは、皆それぞれの形で「言葉」を大事にしていた。他にも増田貴久、亀梨和也、松島聡、正門良規…。すでに退所しているが、中居正広、岡田准一、二宮和也…。挙げればキリがないが、長年活躍するスターの言葉は、今も記憶に刻まれている。 元日の紙面に掲載された新春インタビューでは、目黒蓮と向き合った。今をときめくトップアイドル。平成を彩った“キムタクブーム”と同じように、彼が着用した洋服や出演したCMの商品は“めめ売れ”と呼ばれ、すぐさま店頭から在庫が消えていく。作品の撮影現場は“聖地”になり、ファンが殺到する。社会現象を巻き起こす唯一無二の存在といえる。 そんな目黒は、今まで対峙したスターやタレントとは、どこか異なっていた。スタイル抜群で、どの角度から見てもほれぼれしてしまうのだが、彼らがまとう自信のようなモノを感じる場面が少なかったのかもしれない。「日々、もがいて」「誰からも求められずにやってきた」。10年間のジュニア時代に長い下積みを経験したことも関係しているのだろう。おごらず、謙虚な言葉が並んだ。 最も驚いたのは「僕なんか、誰もデビューなんてできると思わなかっただろうから」という言葉。自身を「僕なんか」と卑下したスターは、今まで接したことがなかった。過去だけでなく、現在についても同じ。「街を見て、自分の看板があること一つが、とっても不思議」と言った。 自身の生き様や新年の抱負も「もがく」、「コツコツ」、「一歩一歩進めたら」と飾らない言葉で表現した。取材中、彼は常に背筋を伸ばし、姿勢を正していた。撮影や取材で関わった全てのスタッフに頭を下げ、お礼の言葉を添えていた。熟考の末に発する言葉も、可能な限り全ての方面に敬意や思いやりを込めているように受け取れた。 昨夏に“月9”初主演となったドラマ「海のはじまり」(フジテレビ系)のイベントで、彼は七夕の短冊に「『海のはじまり』が愛されますように」という願い事に加え、「全ての人が長生きしますように」とも記した。その時は驚いたが、1対1で向き合った今なら、彼の心からの願いなのだとしっくりくる。 謙虚で、ピュアで、繊細。丁寧に生きる目黒に対して、あまりの多忙ぶりと人気ぶりが心配にもなるが、「親友」と呼ぶメンバー8人と「ファンの方々」に支えられ、高め合い、今後も「コツコツ」と積み上げていくのだろう。そんな自身の生き方を反映させた飾らない「言葉」は、とても耳心地が良かった。(田中 雄己) ◇目黒 蓮(めぐろ・れん)1997年2月16日、東京都出身。27歳。2010年10月30日に入所。19年1月にSnow Manに加入し、20年1月にデビュー。22年10月にフジテレビ系ドラマ「silent」が大ヒットし、同12月に「月の満ち欠け」で映画単独初出演。昨年7月にフジテレビ系ドラマ「海のはじまり」で“月9”初主演。今年2月14日には、主演映画「トリリオンゲーム」が公開予定。愛称は「めめ」。
報知新聞社