「泣ける」「心にしみる」…ハイチュウの包み紙 SNSで注目、感情を揺さぶられるメッセージ
1975年に誕生した森永製菓のソフトキャンディ「ハイチュウ」。包み紙にメッセージが書かれていることを知っていますか? 「心にしみる」「遊び心ある」と、SNSでも多くの人が話題にしています。いつ、どのようなきっかけで生まれたのでしょうか。取材しました。(withnews編集部・河原夏季) 【画像】「心にしみる」…ハイチュウの包み紙に書かれたメッセージ
「たった1粒の僕だけど」
会社でパソコンを前にしかめっ面をしていたある日、ふいに上司が差し入れを置いて去っていきました。ストロベリー味とレモン味のハイチュウです。 「ハイチュウ、久しぶりだなぁ」と思って数粒取り出すと、銀色の包み紙に白い文字が。 「たった1粒の僕だけど きみの糧になれますように」 「無理をすると つぶれちゃうよ」 「頑張った自分に ハイチュウをあげよう」 私は、ハイチュウに、励まされている……? ほおが緩みました。
バリエーション豊か
ほかには何が書いてあるのか気になって出してみると、様々なバリエーションがありました。 「ハイチュウは 君を裏切らない」 「ハイチュウを あげた数だけ 友達は増える」 「ハイチュウは みんなで食べると おいしくなるよ」 「ハイチュウをかんで しあわせをかみしめよう」 「僕をかみながら 泣いてもいいよ」 どんなシチュエーションが想定されているのでしょうか。でも、おもしろい。そばにいた同僚もメッセージが書かれていることを知らなかったようで驚いていました。 調べてみると、これは「ハイチュウ訓」というそうです。 SNSでは「ハイチュウの包み紙を読んでぉぃぉぃ泣く」「心にしみる」「今のハイチュウはこんな遊び心がある包み紙なんですね」というコメントがたくさん投稿されています。
情緒的な価値を高めるため
「ハイチュウ訓」誕生の背景を、森永製菓(東京都港区)に聞きました。 菓子マーケティング部の堤崇将さんによると、ハイチュウ訓が登場したのは2012年。 「ジューシーさと心地よい食感でポジティブな気持ちになれるハイチュウの情緒的価値を、さらに高めるための施策を検討している中で、食べるときにお客様が必ず手にする包み紙にメッセージを記載するのはどうかというアイディアから生まれました」 2024年8月現在、30種類以上のハイチュウが日本国内で販売されていますが、ハイチュウ訓が書かれている包み紙は、袋入りのアソートタイプではなく、12粒入ったスティックタイプのもの。 筆者が出会ったメッセージなど、ハイチュウ訓は17種類あるそうです。 そのほか、「特大吉」「メガ吉」といった10種類のおみくじが書かれたものもあります。 メッセージは主にマーケティング担当のメンバーが考えていますが、過去には全国のセールス担当からアイディアを募集したこともあったそうです。 堤さんは、「ちょっとした幸せやポジティブな気持ちをみなさまにお届けできるよう心がけています」と話します。 メッセージの内容は、不定期で数年に1回、時代の価値観の変化などに合わせて見直しているそうです。 「おかげさまでSNS上では好意的なお言葉をたくさんいただいています。反響の大きい特定のメッセージがあるわけではなく、みなさまそれぞれに響くメッセージやおみくじをお楽しみいただいているようです」と堤さんは語ります。 今後も「ちょっとした幸せやポジティブな気持ち」を包み紙に添えていくそうです。