昨年11月の基本給、32年ぶりの高い伸び-日銀追加利上げの支えに
金融政策予想を反映するオーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS) 市場では、追加利上げ時期の予想は足元で1月会合が5割程度、3月会合が約3割となっている。
日本最大の労働組合の全国組織である連合は、25年春闘の賃上げ目標に24年と同水準の「5%以上」を掲げた。中小企業は格差是正分を加えた「6%以上」を目指す。24年の平均賃上げ率は5.10%と33年ぶりの高水準で、中小は4.45%だった。
9日の日銀支店長会議では、中小企業を含む全国の企業からヒアリングした賃上げの動向と見通しに関する重要な情報が蓄積される見込みだ。追加利上げのヒントを探る上で、市場は14日の氷見野良三副総裁の講演・記者会見に注目している。
大手企業を中心に高水準の賃上げ機運が続く中、実質賃金の伸びがプラス圏で定着するには中小企業の底上げが鍵となる。内閣府は先月公表した政府経済見通しで、賃上げへの期待を背景に25年度は実質賃金のプラスが定着するとのシナリオを示した。
明治安田総合研究所の吉川裕也エコノミストは、今年の春闘の決着点を5%程度と予想。「参照する物価は昨年に比べれば下がっているが、人手不足感はむしろ強まっている。人手不足の高まりでまだ下支えされる」と述べ、24年からそれほど減速しないとみている。
実質賃金の算出に用いる消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)は11月に前年比3.4%上昇。政府による電気・ガス代補助金の縮小が影響し、3カ月ぶりの高い伸びとなった。
--取材協力:横山恵利香.
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Keiko Ujikane