旬の〈菜の花〉ゆですぎはNG?調理のポイントと鮮度を見分けるポイント|管理栄養士が解説
野菜売場で菜花(菜の花)を見かけると春の訪れを感じます。菜花は、季節感が楽しめる野菜の一つですよね。 春のわずかな期間だけに出回る菜花のことを知って春の食卓を楽しみませんか。 【写真】〈菜の花〉ゆですぎはNG?調理のポイントと鮮度を見分けるポイント ■菜花ってなに?栄養はある? 春の食卓に彩りを添えてくれる菜花。一般的には「アブラナ」科のつぼみと花茎、やわらかい若葉の部分を総称して「菜花」とよばれています。アブラナ科の野菜には、小松菜や水菜、ブロッコリーやカリフラワー、かぶやチンゲンサイ、キャベツや白菜など30種ほどの仲間がいます。菜花は、花が咲くための栄養素がたっぷりと詰まった緑黄色野菜です。わさびや大根にも含まれている「イソチオシアネート」とよばれる辛み成分には、強い抗酸化作用があります。イソチオシアネートには免疫力を高める働きがあるとされており、季節の変わり目である春先の花冷えの体調をととのえるのにも役立ちます。 ■菜花の歴史 アブラナ属の菜花は、その名の通り種に豊富な油分が含まれています。現在のようにつぼみを食べるようになったのは明治以降といわれ、それ以前は採油を目的として栽培されていたとか。 品種改良によって食用が主流となりました。 ■菜花をおいしく食べるコツ ゆですぎると菜花の香りや食感ばかりでなく、パセリと同程度も含まれるビタミンCやモロヘイヤ並みに含まれるカリウムも失われてしまいます。ゆでる場合は、さっと塩ゆでしてざるなどにあげて手早く冷まし、水気を絞っていただきましょう。茎の部分が太い場合は、つぼみや葉先と切り分け、時間差でゆで時間を調整するとよいですね。 ■栄養素をアップするならオイルをいっしょに 緑黄色野菜の菜花は栄養価もとても高く、ピーマンの約5倍のβ-カロテンを含んでいます。下ゆでせずに炒め物にしたり、オリーブオイルやごま油などを加えた和え衣で和えたりと、少量のオイルと一緒にいただくことで、β-カロテンの吸収率が上がります。オイルを使う料理であるパスタやてんぷらもおすすめです。 ■花が咲く前に食べよう 茎の切り口はみずみずしいのが○ 緑色をしたつぼみが開き黄色い花が顔をのぞかせると、えぐみが強くなっていきます。茎の切り口が乾燥していたり穴が開いていたりしているものは水分が抜けてしまっています。菜花は春にだけ手に入る野菜だからこそ、どのように扱えばよいか迷ってしまうこともあるかもしれません。ゆですぎ、水にさらしすぎ、を避けて、油分と一緒にがコツですよ。ぜひ春を味わってみてくださいね。 参照: 「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」 「やさい」(幻冬舎) 「野菜のパワーまるごと健康レシピ」(NHK出版) 「旬の野菜の栄養事典」(X-Knowledge) 「からだによく効く食べ物大事典」(池田書店) 「野菜まるごと事典」(成美堂出版) ライター/大槻万須美 管理栄養士・フードスタイリスト・腸内ケアフードアドバイザー。楽しく食べて健康に。食の大切さを伝えるため、離乳食講座などの料理教室、バレエダンサーやアスリートのパーソナル栄養サポート、レシピ・コラムの提供など幅広く活動。子どもの頃の毎年の米作り経験から、身近な食体験の重要性についても実感し、おとなと子どもの食育サポートにも力を注いでいる。 Instagram:@tsukiko_shoku_mind 協力/NS Labo
NS Labo(栄養サポート研究所)