都知事選、有権者が暮らす東京の11島…2万票巡り振興策訴え
データでみる都知事
東京都知事選(7月7日投開票)の舌戦の舞台は、23区や多摩地域にとどまらない。都内62区市町村のうち、太平洋に浮かぶ9町村の11島にも都民が暮らす。領海や排他的経済水域(EEZ)の基点となる「国境離島」も多数抱え、「島行政」は都知事にとって重要なテーマだ。
国土地理院によると、国内にある1万4125島のうち都に属するのは635島。都道府県別では8番目の多さだが、東京の島々が構成する排他的経済水域(EEZ)は約170万平方キロ・メートルと、日本全体の約4割を占める。
広大なEEZに寄与しているのが、都心から1700キロ離れた日本最南端の沖ノ鳥島(小笠原村)と、1950キロ離れた日本最東端の南鳥島(同)だ。豊富な海洋資源が眠るとされ、都は2021年度、沖ノ鳥島の周辺海域で生物や海底地形の本格的な調査に着手した。
今月21日には東京大と日本財団が、EEZ内の南鳥島沖の深海底で、レアメタル(希少金属)を含む鉱物資源「マンガン団塊」が2億トン以上密集する鉱床を発見したと発表した。都の担当者は「国益にも資する重要な島々だ」と話す。
沖ノ鳥島は無人島だが、南鳥島には海上自衛官らが駐在している。ただ、太平洋戦争の激戦地だった硫黄島(小笠原村)と同様、一般人は立ち入れず、駐在する自衛官らも住民票は置いていない。
一方、都民が暮らす11島では水産業が盛んで、キンメダイやマグロ類を中心に年間2261トン(2021年)の漁獲量がある。スキューバダイビングなど豊かな自然を生かした観光業も人気で、都が23年5月に策定した離島振興計画では、水産業のデジタル化や担い手育成に加え、インバウンド(訪日外国人客)向けにビジネスジェットの誘致などにも力を入れるとした。
都選挙管理委員会によると、島部の有権者数は計2万108人(6月1日現在)。都内全体の0・2%に満たないが、都知事選の候補者たちは限られた選挙期間中に島を訪れて支持を訴える。