息子の嫁「ずっと義母の介護をしてきたのに!」…「所詮は他人」と罵られて意見を”封殺”される『マイノリティ』たち
大事なことは「言い尽くしてしまう」こと
不思議なもので、これまで私が経験した現場では、みんなが言いたいことを言い尽くした頃には、なんとなく結論が出てくるケースがほとんどでした。 家族・親族といえども、互いの生き方をこれほどはっきりと伝え合う場をもつことは、介護のあり方について話し合うとき以外には、ほとんどないでしょう。親が亡くなっていくことに、自分が子どもとして立ち会える機会を、親から与えられたチャンスととらえ、みずから率先して発言すると同時に、みんなの意見を積極的に引き出しましょう。 とはいえ、あまりにもめてどうしようもなくなったり、逆に「みんなが言いたいことを言えないまま結論が出てしまう。困ったな」と思ったりしたときには、私たち施設職員を交えて話し合うのも、ひとつの方法です。 施設職員は家族間のもめごとには不介入が原則ですから、誰かの意見に肩入れしたり、自分たちが望む方向に結論を導いたりすることはありません。私たちにできるのは、話し合いの場を設定すること、今後の見通しや介護にかかる費用などについて正確な情報を提供すること、言いたいことを言えずにいる人が発言しやすいように水を向けることくらいです。 けれど、それらがきっかけとなって結論がまとまっていくこともよくあります。ちなみに、職員を交えての話し合いは、サービス担当者会議、カンファレンス、家族合同面談などと呼ばれています。希望する場合は、ケアマネジャー、相談員などを通じてセッティングしてもらってください。
髙口 光子(理学療法士・介護支援専門員・介護福祉士・現:介護アドバイザー/「元気がでる介護研究所」代表)