女性にクールビズはいらない
今年5月、環境省から “女性ならではのクールビズ”が打ち出されました。そもそも「クールビズ」は暑さ対策ではなく、省エネ対策のもので、女性に対しても「クールビズ」が提案されるのはごく自然な流れなのかもしれません。しかし、シーズンが過ぎて感じたことがあります。私たち女性にとって「女性版クールビズ」は必要なかったのではないか?ということです。
そもそも男女には体感温度差がある
2005年の“初代クールビズ”では、当初「オフィスでの軽装化は仕事とプライベートの区別をあいまいにする」といった反対意見もあったようですが、今ではすっかり定着。多くの企業が積極的にクールビズに取り組んでいます。しかし、女性にもそれが必要かという疑問があります。 男性と女性は、そもそも体感温度に差があるからです。「クールビズ」で提唱されている冷房 28度の空間は、女性にとっては少し肌寒く感じることも少なくありません。そのため、「少し高め」とされる28度設定でも、カーディガンなどを羽織って、体温の維持に努めるなどは、よく聞く話です。 実際に、男女の体感温度の違いを調べた実験(※注)があります。男女(年齢18歳~29歳)各100人を被験者として、気温 29.7℃、湿度 65.9%の非冷房室に 10分間滞在してもらった後、気温 25.0℃、湿度 60.3%の冷房室に移動し 60分間椅座安静を保ってもらい、血圧、皮膚温等を調べるとともにアンケート統計をとるという内容です。 実験結果は以下になりました。 「25℃の冷房室に60分いたことによって、男女ともに皮膚温は低下したが、女性のほうがより低かった」 「体温の影響も受け、男性は涼しい環境、女性は暖かい環境への快適度が高い傾向が確認された」 実際に、オフィスで働く男女に、28度設定のオフィスは気温環境が快適かどうかを聞いてみたところ、私たちが通う中央大学商学部の職員で30代の女性は、「28℃のオフィスにいると、出勤時は涼しさを感じ適温だと思いますが、何時間か経つと肌寒く感じてしまいカーディガンなどを羽織っています」。一方、40代の男性は「適温と感じる時もあるが、窓からの日差しなどその時によっては冷房だけでは暑くて、扇風機を冷房と合わせて使っている」と回答しました。このことからもやはり男女に体感温度の差はあるといえます。 (※注)出典:奈良女子大学大学院の久保研究所「冷房使用時の体温調節反応と温熱的快適性の性差について」