「戦国・愛知」「王国・愛知」ファンの熱量も…バスケBリーグ、パリ五輪をはさみ秋からは注目度か高まりそうな予感
◇記者コラム「Free Talking」 「戦国・愛知」―。10月に新シーズンを迎えるバスケットボール男子のBリーグ1部(B1)の見どころを問われれば、そんな言葉が思い浮かぶ。昨季は西地区だった名古屋Dが中地区に“国替え”。三遠、三河、FE名古屋と合わせ、愛知県を拠点とする4クラブが同一地区でしのぎを削ることになった。 同じ都道府県を拠点とする4クラブが同地区でぶつかり合うのは初めて。「愛知出身として、愛知のチームがたくさんトップレベルで競い合えるのはうれしい」。NBA入りを目指す、名古屋市生まれで5月にネブラスカ大(米国)を卒業した日本代表の富永啓生(23)も熱視線を送る。 それぞれ力もある。昨季は名古屋Dが西地区、三遠が中地区をそれぞれ初制覇。中地区2位の三河も含め、3クラブがシーズン王者を決めるプレーオフ(チャンピオンシップ=CS)に進んだ。B1全24クラブのうち8クラブだけが進出するCSの3つを県勢が占め、CSを逃したFE名古屋も勝利数は三河とわずか3差。このことからも4クラブの実力はうかがい知れる。 県内のライバル同士の競争はさらに激しさを増しそうだが、名古屋Dの梶山信吾ゼネラルマネジャー(GM、47)は「目指すべきところは愛知の全クラブがCSに出ること」と言い切る。発言からは、愛知勢でバスケ界を盛り上げていこうという気概がひしひしと伝わってきた。 観客の「熱量」はどうか。4月に名古屋市中区のドルフィンズアリーナで行われた名古屋D―琉球を視察したBリーグ幹部は「正直、応援の熱気がこれほどすごいとは思わなかった」と驚いていた。盛り上がるホームの客席から、B1随一の人気を誇る琉球をしのぐほどの潜在能力を肌で感じたという。 名古屋に転勤して3カ月余り。「バスケ王国・愛知」というフレーズを何度か耳にした。確かに同地区どころかB1に4クラブもある都道府県は他にはない。日本代表が出場する今夏のパリ五輪をはさみ、より注目度が高まりそうな秋からの新シーズン。“王国”の存在を全国に発信する絶好の機会となるはずだ。(アマチュアスポーツ担当・唐沢裕亮)
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