“絶滅危惧楽器”バンドネオン奏者の三浦一馬、ふたりの師匠に出会うまでの行動力がスゴい
マルコーニとの「ダブルソリスト」が実現!
なお、今夏のTGS定期公演では、「これでバンドネオン人生が終わってもいい」と思えるほどの特別な演奏が実現したようだ。 三浦:今年は、我が師匠ネストル・マルコーニが7年ぶりに来日し、TGSにも満を持して出演していただきました。自分の先生をお招きし、自分が大事に作り上げてきたメンバーと音楽を共有したわけですから、なかなか感慨深いものがありましたね。TGSを立ち上げて以来、自分がメインを務める関係上、今までこのオケの音を客観的に聴く機会がなかったのですが、今回は先生とオーケストラのパートがあったので、はじめて少し離れたところから聴くことができました。これは何にも代えがたい貴重な体験でしたね。あと、ピアソラの「バンドネオン協奏曲」という作品があって。これは、バンドネオンがソリストとして真ん中に位置取り、後ろでオーケストラが演奏するというものなのですが、ずっと温めていた僕と先生による「ダブルソリスト」が実現したんです。念願叶って先生と二人並んで演奏することができ、これでバンドネオン人生が終わってもいいと思えるほど、最高の時間でした。 演奏者として、楽団のリーダーとして精力的に活動し、バンドネオンの魅力を多角的に伝え続ける三浦さん。彼にとって「未来への挑戦=FORWARDISM」とは何かと聞くと、こんな答えが返ってきた。 三浦:バンドネオンが持つ存在感には光るものがあると感じます。ちょっとワンフレーズ聞いただけで「おっ」っと思える空気を作り出せると信じています。だから、今まで演奏されていた部分にこだわり過ぎる必要は決してなく、「これってバンドネオンで弾いたことないよね」というものを、今後どんどんやっていきたいです。 (構成=小島浩平)