“ラーメン税”を外国人観光客から徴収すべき理由「年間100億円の税収は期待できる」
「ラーメン税」を全国で導入するべき
そこで、この宿泊税と同様の効果を期待して、ラーメン店のオーバーツーリズム対策として提案したいのがラーメンの二重価格、いわば「ラーメン税」の導入だ。 外国人観光客が訪れる一部のラーメン店に日本人と外国人観光客で異なる価格、すなわち二重各区を導入するのである(ここからはラーメン税と呼ぶ)。 この税収の使い道は、宿泊税がそうであるように、ラーメン店そのものへの充実化だけでなく、外国語対応が難しいラーメン店のスタッフの語学コミュニケーション研修費、ラーメン店が密集している地域における観光ガイドの用意など、店舗以外にも求められるインバウンド向けのインフラ整備に使うのだ。 もちろん、ラーメン店前の道路の整備、地元客向けの座席の整備のほか、全国主要都市のラーメンマップアプリ、Google MapでのMEO(地図エンジン検索結果の最適化)やトリップアドバイザーなど口コミサイトの整備なども税収の使い道として考えられる。 つまり、ラーメン税は、ラーメン店だけではなく、地域住民の生活の質向上にも貢献するのだ。こうした施策に驚く人もいるかもしれないが、人気スポットに二重価格を持ち込むことは世界では極めてスタンダードな考えだ。 フランスのルーブル美術館、タイのワット・ポーはそれぞれの国の一大人気スポットだが、二重価格を導入している。具体的にはどちらも地元民の一部は無料、観光客はそれぞれ約3,700円と約1,250円となっている。 日本のラーメン店も、世界の観光スポットと同様のシステムで二重価格を導入すればよいのだ。これにより、オーバーツーリズムが解消し、日本人にとっての庶民食であるラーメンの文化が保たれるだろう。 筆者はこれまで、Amazonでさまざまな商品を販売してきており、マーケティング施策の一環として、商品価格を変動させることは当然のように行ってきた。 ネット通販はスーパーマーケットの野菜と同様に、ダイナミックプライシングが当然の業界である。そもそも、本来あらゆるサービスにおける価格は時期、ニーズによって変わるものであるはずだ。 そのため、ダイナミックプライシングや二重価格のように、値段が一律でない動きは今後さらに増えていくと考えられる。ただ、今回筆者が提案したラーメン税については、ホテルや航空券、サウナ、飲食店などのダイナミックプライシングとは異なる「税」だからこその利点がある。