“ラーメン税”を外国人観光客から徴収すべき理由「年間100億円の税収は期待できる」
全国の「駅そば」を「駅ラーメン」へ
そこで筆者が提案したいのが、鉄道インフラを「ラーメンインフラ」にする政策だ。具体的には、全国の主要駅にある「駅そば」を「駅ラーメン」に変えるのである。 なぜならば、観光庁の調べによると、外国人観光客が日本滞在時に利用する交通手段として鉄道を利用する人が54.1%というデータがあるからだ。 限られた滞在時間内でできるだけ日本のコンテンツを楽しみたい観光客にとって、駅チカは間違いなくメリットになる。これは少し想像してみれば納得できるだろう。 われわれ日本人も、海外旅行に出かけた際に、駅や空港の中やその近くにある観光スポット、飲食店にはアクセスがよく、手間も感じにくいので足を運びやすいと思うのではないだろうか。これは万国共通である。
スペインのデモは「日本にとっても他人事ではない」
繰り返しになるが、日本ではラーメンを目的に訪れる外国人観光客が多く、また彼らは駅(鉄道)を利用する。そのため、駅ビル、駅ナカにラーメン屋があればアクセスがよいこともあり、彼らから高いニーズが見込めるのだ。 つまり、いま以上に駅や駅ビルにラーメン店を配置することでインバウンド向けの食のインフラが整うのである。 だがその一方、ラーメンは日本人の庶民食でもある。このままラーメン目当ての外国人観光客が増え続けると、混雑に巻き込まれ、不便を感じる日本人も増えるだろう(もちろん、そば屋が減って困るそば好きの日本人もいるが)。 加えて、ラーメン店の混雑だけでなく、年々避けられない値上げに不満を持つ人が増えるかもしれない。事実、スペインでは増え続ける観光客によって家賃の高騰、混雑が進んだ結果、住人の不満がたまり、観光客に水鉄砲をかけて抗議するデモも発生している。 これは日本にとっても他人事ではない。ラーメン店ですらオーバーツーリズムの対象になってしまうのは、多くのラーメン愛好家は避けたいのではないだろうか。
京都市は「宿泊税」で年間約100億円の税収が
こうしたインバウンドの負の波及効果「負の外部性」を取り除くために上手く活用されている施策の一つが、京都などの観光地に導入されている「宿泊税」だ。 この宿泊税、地方自治体が条例によって定められる法定外目的税に分類されており、たとえば京都市の場合、宿泊税で年間約100億円の税収がある。 この税収の使い道は、宿泊施設の充実化だけではない。宿泊者が増えること≒観光客が増えることによって、その地域において起きるさまざまな問題への対策に使われるのだ。 京都市のHPによると、宿泊税の税収は「市民・観光客双方にとって安心・安全な受入環境の整備や京都観光における、さらなる質・満足度の向上などに活用し、市民生活と調和した持続可能な観光の確立のため」に使われるという。 具体的には、修学旅行の受入環境整備、災害時等における市民・観光客等の安全対策、交通バリアフリー対策など地元住民にも恩恵をもたらす様々な整備に使われている。