応援受け入れの整備を 和歌山県、能登地震で対策見直し
和歌山県は8日、能登半島地震の発生を受けて見直しを進めていた防災減災対策の「中間報告」を発表した。岸本周平知事は、避難所環境改善や観光客の避難支援などのほか、能登半島地震被災地に県内から支援に行ったときの状況を教訓に、応援を受け入れる「受援体制」整備などにも力を入れる考えを示した。 【「空飛ぶクルマ」飛んだ 防災・観光面で期待 和歌山県串本町の動画はこちら】 岸本知事は記者会見で「(県内から職員が)応援に行ったときに受け入れ態勢が(十分では)なかった。自分たちはどうだというと、(和歌山県でも)なかった」といい「受援体制」を強化したいとした。 「中間報告」によると、能登半島地震被災地では、地震翌日から大量の支援物資が拠点に着いたが、県職員で対応し切れず、応援職員、ボランティア、復旧従事者の宿泊場所や駐車場、食料なども不足。「受援計画」は、石川県では19市町のうち6市町で未策定だった。 和歌山県でも物資の仕分けや出荷などの運営に不安があるほか、応援職員らの宿泊場所や駐車場、食料調達は検討しておらず「受援計画」は30市町村中10市町が策定していないという。 このため、市町村の計画策定について助言するなどして働きかけを徹底したり、応援職員らの受け入れについて民間と連携したりしていくことなどに取り組んでいく、としている。 また、能登半島地震では発災初期の輸送体制にも教訓とすべきことがあったという。岸本知事は「道路が寸断されると孤立集落が非常に多くなる」と半島共通の課題を示し、物資や人員輸送に、空路や航路を活用したいとした。 中間報告では、道路啓開計画に自衛隊との連携強化などを追加▽南紀白浜空港の早期復旧のための補修材を現地に備蓄▽応援航空機受け入れ拠点の旧白浜空港跡地にヘリポートや燃料庫などを整備▽物資や人員の輸送に民間航空機確保―などの対策を挙げている。 避難所の環境改善にも取り組む。衛生面などを考慮した避難所レイアウト案をあらかじめ準備したり、冷暖房設備の整備を推進したり、トイレカーやキッチンコンテナの整備を推進したりする。また、県民に対して1週間程度の備蓄を呼びかけるほか、住宅耐震化の支援策を充実させて促進していく。 これら対策のうち、短期的に取り組めるものは来年度までの着手を目指し、中長期的な取り組みも5年以内での完了を目指すとしている。検証の中間報告は政府提案などを基に修正した上で、来年2月ごろに最終報告としてまとめ、県の地域防災計画に反映するという。
紀伊民報