静岡県知事に“挑戦状”を突き付けた五輪・柔道銀メダリスト、溝口紀子氏
6月8日に告示される静岡県知事選。現職の川勝平太知事が3選を目指し出馬表明をした、その1週間後に対抗するかのように出馬表明をしたのはバルセロナ五輪、柔道銀メダリストの溝口紀子氏であった。溝口氏はなぜ出馬を決意したのか? その思いやこれまでの経緯を聞いた。
県の教育改革を進めてきた自負
── いつ頃から知事選への出馬を考えていたのですか? 知事が3選に挑むと表明された時ですね。スイッチが入りました。本当につい最近の決意です。いっきに決めた感じです。この3~4週間で人生が一変しました。 ── それまではまったく知事選への出馬は考えていなかった? 教育委員会という県政に近いところにいて、また、教授を務めていた静岡文化芸術大学は県政のシンクタンクの位置づけにあり、そういう中で川勝知事は限界だと問題意識をもっていました。県外の人からは柔道のメダリストでテレビのコメンテーターくらいのキッチュな印象かもしれませんが、県内の人には教育委員長の溝口。教育改革を推進してきた、そういう認識がある中で、支持が得られるのではないか、川勝体制に不満をもつ人がいっぱい近くにいたので、そういう人たちの支持を集めれば変えることが出来ると思いました。 ── 教育改革に取り組んだ自負が最終的に出馬を決意させた? そうですね。ブラックボックスだった県教育委員会を透明化し自浄作用をどうもたらすかという取り組みは、自分の見識を深めることになりましたし、地方教育が変わっていく変革期でもあったので、内部から教育委員会を見て、教育は政治だなと感じました。県政の4分の1くらいの予算を占める大きな事業ですので、非常にポリティックなところがあり、そういう中で子供を豊かに育てる理想の教育をバランスよくいかに実現するのか腐心してきました。 ── バルセロナ五輪で銀メダルを獲得し、その後、フランスでナショナルチームのコーチを務めたわけですが、県行政とのかかわりはいつ頃からになりますか? バルセロナ五輪出場の後、県立短大(県立大学短期大学部)で、体育の教員がいないということで講師をしていました。フランスから戻ってきて人事の話があり、静岡文化芸術大学に専任教員として着任しました。直近では教授としてスポーツ社会学を教えていました。県の教育委員会で委員そして委員長も務めています。